2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on the processes of ascent and cooling of deep crustal rocks in continental collision orogens based on unusual melt inclusions
Project/Area Number |
18K03789
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
廣井 美邦 国立極地研究所, 先端研究推進系, 外来研究員 (40019427)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グラニュライト / 部分融解 / メルト包有物 / 非平衡結晶成長組織 / 準安定相 / 急速冷却 / 大陸衝突型造山帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
南極やスリランカ、インド、カナダ、チェコ、南アフリカ等の世界各地の多様な年代の大陸衝突型造山帯に産出する高温高圧広域変成岩(グラニュライト)中のメルト包有物(冷却固結して「ナノ花崗岩類」と呼ばれる)を偏光顕微鏡、電子顕微鏡、電子線マイクロアナライザー、ラマン分光分析機等を駆使して実体の把握を続け、新たなデータを蓄積するとともにその解析結果を論文化して公表した。例えば、ざくろ石と単斜輝石に富むマフィックグラニュライトからグランディディエライトと呼ばれる高温で安定なホウ素ケイ酸塩鉱物を含むナノ花崗岩類を世界で初めて見出し、玄武岩質のグラニュライトでも部分融解が進むことと生成した液が分離する際のホウ素の具体的な挙動を明らかにした論文を出版した。また、玄武岩質のグラニュライトばかりでなく泥質のグラニュライト中のナノ花崗岩類から想定外の斜長石の準安定相(ドミスタインベルグ石とコクチェタバイト)が石英とともに出現することを確認した。それはこれまで研究代表者が繰り返しその重要性を強調してきた樹枝状~球晶状などの非平衡結晶成長組織が一部のナノ花崗岩類に見られることと調和的で、メルト包有物が非平衡結晶化したことを補強するものである。また、ナノ花崗岩類中の石英「斑晶」にチタンに関する顕著でシャープな累帯構造が見られるも明らかになった。このような準安定相や非平衡組織と累帯構造の保存は、少なくとも一部のグラニュライトがこれまでの常識よりも1~2桁速く冷却したことを強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた論文が印刷公表されたこととメルト包有物に関する予想外で新しい情報(長石の準安定相出現の確認)が得られたことは順調な進展を示すものである。他方、石英結晶中のチタンの体拡散速度の値がいまだに研究グループによって大きく異なり、それを用いたグラニュライトの冷却速度の見積もりの信頼度が低いことが判明して、テクトニックモデルの構築に新たな進展はなかったことは計画の遅れとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
追加すべきデータを取得するとともに、研究成果を論文化して印刷公表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、論文作成中に明らかになった不足データの取得作業が遅れたため。 助成金は論文の印刷公表のために使用する。
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Research Products
(4 results)