2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of evaporation coefficient on vapor-liquid interface of bubble nuclei for non-equilibrium MD/bubble dynamics coupled model of cavitation
Project/Area Number |
18K03959
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
矢口 久雄 群馬工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20568521)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子動力学 / 気液界面 / キャビテーション / 蒸発係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,キャビテーション初生における気泡核内部の気液界面を対象として蒸発係数を求めるとともに気液間の質量・運動量・エネルギー輸送に関する基礎的な知見を得ることである.本年度は,温度90 K,半径約1.7~3.3 nmのアルゴン気泡核の気液界面における蒸発係数を決定し,気泡半径への依存性を明らかにした.前年度より長時間の50 nsの気液平衡シミュレーションを行い,気泡内部の蒸気密度や蒸気圧について十分な値の収束を得た.また,気泡の中心位置の検出方法を改善し,気泡半径や遷移層厚さをより正確に評価できるようになった.これらの取り組みから,蒸発係数決定に必要な平衡蒸発流束を定量的に求め,Kelvin効果で気泡半径が小さいほど平衡質量流束が小さくなることを示した.真空蒸発シミュレーションでは気泡内部に仮想的な真空を設けて液相からの自発的な蒸発質量流束を求めるが,この際,正確な気泡半径の評価が重要となる.従来は短い時間に求めた密度分布から気泡半径を評価していたが,サンプル数の問題から誤差が大きかった.本年度はこれを系の分子数から逆算するシンプルな方法に切り替えて問題解決した.真空境界条件や温度制御領域の位置決めが正確となり,より理想的な真空蒸発シミュレーションを実現できた.以上で得られた質量流束から,温度90 K,半径約1.7~3.3 nmのアルゴン気泡核の気液界面における蒸発係数を決定した結果,蒸発係数は1.0に近い値で変動し,気泡半径が小さくなるほど蒸発係数が大きくなることがわかった.これは,気泡半径が小さくなるほど小さくなる平衡質量流束のKelvin効果を相殺するように,真空蒸発質量流束も小さくなるためである.したがって,気泡核の蒸発係数は,平面気液界面における温度90 Kの蒸発係数約0.8から,気泡半径が小さくなるにつれて1.0に向かって大きくなっていくと考えられる.
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Research Products
(2 results)