2019 Fiscal Year Research-status Report
Scaling law of NOx emissions from diluted flames on parallel jet spray burners
Project/Area Number |
18K03981
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
名田 譲 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (50383485)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高温空気噴霧燃焼 / 窒素酸化物 / スケーリング則 / 火炎体積 / 液滴到達距離 / 総括反応機構 / 完全攪拌反応器 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は液滴到達距離測定のためのシュリーレン光学系を設置し,観察窓付きの燃焼炉を新しく作成した.観察窓は幅20mm,長さ1000mmの耐熱ガラス製であり,この窓から燃料噴霧を撮影することで,到達距離を測定する.燃焼炉の作成は完了したが,実験時に必要な排ガス分析装置が故障したため,燃焼実験は中断している.このため,燃焼実験に関しては申請時のスケジュールより遅れが生じている. 数値シミュレーションにおいて,令和元年度は使用する総括化学反応機構の評価を行った.この総括化学反応機構は燃焼炉の燃料である灯油およびノルマルデカンの燃焼反応を表しており,燃焼炉の計算精度に極めて強い影響を及ぼす.燃焼炉の数値計算には四つの化学反応からなる四段総括化学反応機構を用いている.この反応機構の精度を評価するために,PSR(完全攪拌反応器)を用いた化学動力学シミュレーションを行った.PSRでは完全均一混合を仮定するため,流動の影響を排除することができる.また,極めて精度の高い反応機構(118化学種,527反応)とAachen Surrogateおよびノルマルデカンを用いた計算も同時に行い,これらの結果と比較することで四段総括化学反応機構の精度を評価した.燃料の濃い過濃混合気の場合,四段総括化学反応機構を用いたときの温度は,Aachen Surrogateを用いたときとよく一致することがわかった.ただし,燃料の薄い希薄混合気では温度を過大に評価する.これを抑制するために,四段総括化学反応機構の係数の一部を調整した.この結果,温度を下げることができた.これらの結果は第57回伝熱シンポジウムで発表予定である(ただし,新型コロナウィルスの流行の影響でシンポジウム中止が決定済み.投稿した原稿は論文集として掲載予定).
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画では,令和元年度までに小型燃焼炉内に形成される希釈火炎の火炎体積の測定と,液滴の到達距離の測定および数値シミュレーションに用いる小型燃焼炉の合わせこみを行う予定であった.火炎体積に関する研究に関しては,平成30年度に報告したようにノルマルデカンおよび灯油を燃料とした小型燃焼炉の実験から,火炎体積の算出,ノズル間隔および予熱温度の影響の解明,およびNOx排出量を決定する要因の解明が行われた.液滴到達距離の測定に関しては,前述のとおり排ガス測定装置の故障のために燃焼実験が中断している. また,数値シミュレーションに関する研究は計画どおりに進めることができた.平成30年度には燃焼炉内の数値シミュレーションを行い,実験から得られた温度分布と比較し,計算精度の検証を行った.この結果,実験結果を数値シミュレーションで再現するには,用いる四段総括化学反応機構の再調整が必要であることがわかった.これを踏まえ,令和元年度では,単純な場である完全攪拌反応器における反応計算を行い,118化学種,527反応からなる化学反応機構の結果と比較することで,本研究で用いる四段総括反応機構の精度を検証した.この結果を基に,四段総括反応機構の係数を調整し,灯油およびノルマルデカンの燃焼を記述できる簡易な反応機構を構築できた.この結果は,本研究のみならずガスタービンなどの研究にて応用できることから,今後の燃焼研究に大きく貢献できると考えられる. 以上のように,数値シミュレーションに関する研究は順調に進展しているものの,燃焼実験が中断している.このため,本課題の進捗状況をやや遅れていると判断している.
|
Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画では,令和2年度は数値シミュレーションに関する研究のみを進め,数値シミュレーションから得られた炉内流速分布と実験で測定された液滴到達距離を基に,窒素酸化物排出量のスケーリング則の構築を行う予定であった.しかし,令和元年度の排ガス分析装置の故障により液滴到達距離の測定が中断している.現段階において排ガス分析装置の修理は完了しており,引き続き液滴到達距離の測定を行う予定である.令和元年度と同様に大学院生2名の協力の下実験を行う.予熱温度,ノズル間隔および液滴噴射時の微粒化用空気流量を実験変数として測定を行い,同時にNOx排出量の測定も行う.これらの変数が液滴到達距離に与える影響を調べ,到達距離がNOx排出量に与える影響とその原理について解明する.この測定は令和2年10月までに終了する予定である. 数値シミュレーションに関しては,令和元年度に構築した四段総括反応機構を基に再度燃焼炉内の数値シミュレーションを行う.シミュレーションには引き続きAnsys Fluentを用いる.これら燃焼炉内のシミュレーション結果から,予熱温度の低い小型および中型燃焼炉で従来のノズル間隔拡大による窒素酸化物制御が機能しない原因を明らかにする.さらに,シミュレーションで得られた燃焼炉内の速度分布,液滴到達距離および火炎体積から滞留時間を算出し,この滞留時間を用いてスケーリングを行う.これらを令和2年10月までに終了させる. 燃焼実験から液滴到達距離が測定された後,再度数値シミュレーションのモデルの微調整を行う.この調整されたシミュレーションの結果を基にスケーリング則を最終的に導出する.この過程は令和2年後半に行われる.
|
Causes of Carryover |
3月に納品となり,支払いが完了していないため次年度使用額が生じた.4月に支払いが完了する予定である.
|
Research Products
(1 results)