2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04167
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
深野 秀樹 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60532992)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光ファイバ温度センサ / ハイパーサーミア |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)高精度温度センサ機能をファイバ先端に付与する仕組みを新たに研究 すべてガラス素材で構成した新規温度センサ構造として,3種類の構造を検討し,それぞれの構造における特性測定によって,特徴の把握を行った。基本的な形は,異なるファイバの融着により,光軸上に2つ以上の光の反射点を形成し,戻り光による干渉によって特定の波長域に周期的なファブリペロー干渉スペクトルを形成する構造である。また,先端部には,反射光を抑制する特殊構造を形成する新しい手法を考案した。温度変化によって線形性良くスペクトルのシフトが起こり,昇温および降温における特性の再現性・安定性も極めてよい。 (2)集光制御可能な石英系光ファイバの作製と波長変化による集光温熱領域の制御 すべてガラス素材で構成した新規温度センサが集積された温熱プローブを実現し,さらに,温度測定波長と異なるレーザ波長を昇温に利用する波長多重技術を可能とするモジュールを試作し,同時照射による特性の測定を行った。吸収長が長くなる近赤外レーザ光による,適度に温める視点で,1.48 μmレーザ光を水滴に照射し,光吸収によって発生した熱およびその熱拡散と昇温領域の関係を実験観察により明らかにした。レーザ照射パワーの増大に伴う,昇温領域の拡大の様子とハイパーサーミアに必要な50℃までの昇温が比較的低パワーで得られることを確認した。 (3)極細ファイバ画像モニタの研究 従来のファイバスコープと異なるレンズ原理応用の通信用のグレーデッドインデックスマルチモードファイバを用いた極細光ファイバ画像モニタの研究を行った。このファイバは,1.3 μm波長帯で波長分散が小さくなる性質があり,この波長帯の光によって,ファイバ内における光の繰り返し集光現象を透過光の焦点測定により確認した。分散の大きな0.8 μm以下の波長帯に比べて,10倍以上の長さにおいても集光現象を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定動作可能なファイバ型温度センサが集積された温熱プローブを実現し,適度に吸収長が長くなる近赤外領域のレーザ光を同時照射することにより,温熱治療(ハイパーサーミア)として注目されている,適度に熱を加える視点での多くの全く新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく研究開発したファイバ型温度センサが集積された温熱プローブを用いた光照射実験を行う。昇温のためのレーザ光波長を変えて昇温領域と実験パラメータとの関係をさらに追加取得し,昇温に寄与するパラメータの特定を図る。また,鳥胸肉やレバーなどの疑似生体試料へ照射実験を展開し,医師が注目し,参考となるデータ取得を図り,学術的に整理し応用が可能となるよう研究を進める。
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