2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04173
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森山 敏文 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (20452873)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 逆散乱問題 / 等価定理 / 時間領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の科研で提案している等価定理を用いる時間領域の逆散乱問題では,オリジナル問題の計測において,ターゲットを取り囲むような閉領域を設定し,その領域の表面上の電界と磁界の全電磁界(入射界+散乱界)を計測する.そして,閉領域表面上に,計測した全電磁界から等価的な電磁流源を与えて,オリジナルの等価問題を解くことを行う.しかし,実測においてプローブ等を利用して電界と磁界の両方を計測することは,非常に手間である.そこで,本年は,手間が半分となる電界のみを計測する方法の検討を行った.さらに,この改良に併せて新しいコスト汎関数の検討も行った. 電界のみの計測について,以下の検討を行った.新しい計測方法では,ターゲットを取り囲む閉領域の面上で電界の接線成分を計測する.そして,等価電磁流源でなく,閉領域面に全電界の接線成分を与えて,等価問題を境界値問題で解くことにした.この場合の等価問題は,境界内部のみを取り扱うことになる.シミュレーションを行った結果,真の物体の設定した等価問題では,オリジナルと同じ結果を与えた.一方,異なる物体を設定した場合,電磁界が閉領域内に留まる結果を得た.そこで,閉領域内に留まる電磁界をエネルギーと解釈し,このエネルギーを最小化して逆問題を解けることが解った. さらに,電界のみを使用してエネルギーを最小化して逆問題を解く場合,最小化に勾配法を用いるときに,計算が非常に複雑になることが解った.そこで,近似的なエネルギーを使用することを提案し,この問題を回避できた. また,計測について検討を行い,光電界プローブを用いての電界の計測についても試みた.しかし,インピーダンスの不整合などにより,十分な感度で電界を計測できなかった.そこで,感度を大きくできるアンテナを用いた計測を新たに検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検討項目として,A)受信点の減少,B)補間方法の検討,C)計測方法の検討の三つの課題がある.本年度は,C)を主に検討した.電界と磁界の二つの成分の計測を一つにすることができることを数値的に確認できた.これは,提案する課題での大きな問題を一つ解決したことになる.今後は,A),B)の3次元に問題を拡張する場合の課題と,電界の計測方法の検討を進める必要がある.加えて,前倒し支払い請求で購入した高性能計算機で,逆問題の計算が可能であることも確かめたので,この計算機を利用してA),B)の検討を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
この研究では,1)“アンテナのモデル化を必要としない3次元での時間領域逆散乱問題解法の開発”と2)“電磁界プローブによる電磁界計測方法の開発”と,これを簡略するための境界値問題の考え方を利用した電界のみを観測する電界プローブでの計測方法の開発を目的として研究を行うものである.来年度は,前倒し支払い請求で購入した高性能計算機を利用して,以下の2点を主に検討する. A)観測曲線上での電磁界を離散的に配置した電磁界プローブで計測する必要がある.受信位置の数は多いほど良いが,計測の簡素化の視点から,どの程度受信点を減らせるかを検討する. B)計測状況においては十分な数の受信点を配置することができないような場合もありうる.そのような場合にも対処できるように,仮想的な受信点での電磁波データを実際の受信点のデータから補間することになる.その際どのような補間が適しているかを検討する.
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