2019 Fiscal Year Research-status Report
Appearance of conductance quantization in binary transition metal based resistive switching
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18K04234
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 佑介 京都大学, 工学研究科, 助教 (10512759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抵抗変化 / 金属酸化物 / 量子化コンダクタンス / 熱処理 / 酸素空孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Pt/NiO/Pt素子におけるリセット特性の実験および理論的検証、Pt/NiO/Pt素子に対する熱処理の効果の調査、などを実施した。 Pt/NiO/Pt素子で確認されたコンダクタンスの連続的な変動は、電界のみならず単なる熱によって消失しうる特性を示すことを前年度に明らかになっている。そこで、素子に電圧を印加した場合に発生するジュール熱の観点から、電圧掃引速度依存に関するリセット特性の実験および理論的検証を進めた。その結果、量子ポイントコンタクトを含む導電性フィラメントに比べて十分サイズの大きなフィラメントを有する低抵抗の素子に対して、ジュール熱によるリセットの発現を定性的に示すことができた。 一方、量子化コンダクタンスの発現は堆積条件が非常にシビアであることもあり、意図しないトラブルによる実験器具の一新を余儀なくされて以降、素子作製直後の量子化コンダクタンスの発現が極めて困難な状況になってしまっている。そこで、量子化コンダクタンスの発現に大きく関わるNiO粒界中の酸素空孔を、素子に熱処理を施すことによって制御することを試みた。さらなる追実験を重ねる必要はあるが、素子作製の後処理としての熱処理が素子のコンダクタンス特性に明確な系統的変化を与えることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
堆積直後のPt/NiO/Pt素子における量子化コンダクタンスの発現確率の劇的な低下に見舞われ、新たな実験器具を用いた堆積条件の最適化に相当な時間を要している。一方、素子作製後に熱処理を導入することにより、フォーミング特性の変化に一定の効果があることを確認することができつつある。今後は熱処理条件として、熱処理温度や時間のみならず雰囲気ガスの効果に関してもより詰めていく必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、Pt/NiO/Pt素子での量子化コンダクタンスの発現確率向上のため、素子形成後の熱処理を実施する予定である。作製直後の状態にも大きく依存するが、素子の微視的な構造変化を抑制すべく、低温・長時間の熱処理の導入により、NiO粒界中の酸素空孔の精緻な制御を図る予定である。
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Causes of Carryover |
想定外の装置トラブルにつき当初予定よりも実験が遅れているため、約20万円次年度に繰り越すことになった。
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Research Products
(10 results)