2019 Fiscal Year Research-status Report
高炉スラグ微粉末の化学組成が高炉セメント硬化体の体積変化に及ぼす影響の体系的評価
Project/Area Number |
18K04308
|
Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐川 孝広 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90621045)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高炉スラグ微粉末 / 高炉セメント / 自己収縮 / 水和反応 / 温度依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高炉スラグ微粉末の水和活性及び硬化体の自己収縮に及ぼすスラグ化学組成および養生温度の影響について検討した。養生温度条件は,20℃および40℃とした。JIS塩基度が1.73~2.03のBFS6種類を用い,高炉セメントB種相当のセメントを作製して自己収縮量を測定した。また,BFS-水酸化カルシウム-無水石こうを結合材とした硬化体を作製し,粉末X線回折/リートベルト法により水和反応解析を実施した。 スラグ化学組成と自己収縮量との関係では,20℃では,高炉セメントの自己収縮はBFS 化学組成では,Al2O3,MgO が多く,SiO2 の少ないBFS の自己収縮が大きくなる可能性が示唆された。しかし,40℃の自己収縮とBFS化学組成に相関は認められなかった。水和生成物量との関係では,モノサルフェート(AFm)やハイドロタルサイト(HT) 生成量と相関が認められた。しかし,40℃ではこの関係は認められず,C-S-H生成量とに相関が認められた。 また,材齢28日での20℃と40℃の自己収縮量の差(diff 20-40)を養生温度の影響とみなし,スラグ化学組成との関係について検討した結果,MgO 量と逆相関が認められた。MgO が多いBFS は20℃での自己収縮は大きいが,一方40℃での20℃からの自己収縮の増分は小さく,BFS の自己収縮特性の温度依存性は,含有するMgO 量の影響が大きいことが示唆された。また,40℃でのスラグ反応率(DOH)と(diff 20-40)に相関が認められ,40℃でのDOHが高いほど,20℃から40℃での自己収縮の増分が大きくなる傾向にあった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,高炉スラグ微粉末(BFS)の水和活性及び硬化体の自己収縮量に及ぼすスラグ化学組成および養生温度の影響について検討した。BFS の自己収縮特性の温度依存性は,含有するMgO 量の影響が大きく,MgO が多いBFS は20℃での自己収縮は大きいが,一方40℃での20℃からの自己収縮の増分は小さくなる結果が得られるなど,新たな知見も得られ,研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験結果により,高炉セメントの自己収縮特性に及ぼすスラグ化学組成の影響は,含有するMgO量の影響が大きいことが明らかとなった。その一方で,MgOが自己収縮特性の温度依存性に影響するメカニズムについては十分明らかでない。今年度の研究では,MgO量と40℃での自己収縮量に差異のあるスラグ2種を選定し,高炉セメントB種相当の結合材を用いた水和反応解析を実施する。得られた結果から,MgOが自己収縮特性の温度依存性に影響するメカニズムについて検討するとともに,体積変化の少ない高炉セメントの組成を提案する。
|