2018 Fiscal Year Research-status Report
Nondestructive evaluation of intersection of longitudianl and lateral ribs of orthotropic deck
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18K04329
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
白旗 弘実 東京都市大学, 工学部, 教授 (40298013)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鋼床版 / 疲労き裂 / 超音波探傷試験 / フェーズドアレイ探触子 / マトリクスアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究は鋼床版縦リブ横リブ交差部に発生する疲労き裂をマトリクスフェーズドアレイ超音波探傷により検出し,精度よく寸法を評価することを目的としている.フェーズドアレイ探触子は素子を密に配置した構造で,電子的な操作により入射波の方向を変化させることができるものである.これまでの検討で用いられてきたマトリクスフェーズドアレイは一次元に素子を配置したものが多いが,当研究は実用的な試験ではいまだ活用が進んでいない二次元に素子を配置したものを使用する.当研究では,素子寸法,くさび使用をはじめとする探傷条件を検討項目とし,確実な疲労き裂検出と高精度な寸法推定を目指す. 今年度までは,システムを構築し,スリット試験体での実験を行った.フェーズドアレイ探傷システムは128素子を使うことができるものである.二次元配置フェーズドアレイ探触子の場合,一次元配置よりも素子数が多くなるため,多くの素子での使用が必要となる.き裂の画像化に開口合成法という手法を用いている.開口合成は反射源からのエコーを重ね合わせる形で像を形成していくため,フェーズドアレイ法のように条件を変えて何度も探傷する形の収録法に適している.1次元配置のための開口合成法を2次元配置フェーズドアレイ探触子に拡張した.今年度は現場での実験を何度か試す機会に恵まれた.しかし,現場では,上向きの探傷となるので,探傷装置に工夫が必要であることがわかった.今後は探傷装置,つまり探触子治具と走行装置(スキャナ)の改善に取り組む予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と異なる点が2つある.一つは現場での適用をあとにしていたのだが,今年度に適用することができたこと,もう一つは探触子の素子をパラメータとした検討を実験室レベルで行う予定であったが,それをしていないことである.両者は関連するところも多い.現場での探傷においては,特に上向きのように条件が厳しくなると,探触子のサイズにより走査性が変わる.現在所有のものよりも小さいものを考えており,今年度の結果は今後の良いフィードバックになるものと考えている.以上より,当初の予定と比較しても遅れてはいないと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究遂行に際して,次の3つを行っていく.第一は現場の探傷に耐えうる走行治具の開発および作製である.昨年度の検討にもあったように,現場では,上向きの探傷を行う必要が生じる.上向き探傷のため,治具には磁石を入れて固定する仕組みとなっている.しかしながら,現行で用意したシステムでは,磁石の力が弱く,走行時にはずれることなどもあった.よって磁石を強力にすることやスムーズな走行ができるような機構を考える必要がある. 第二は探触子素子寸法の検討である.現行のシステムでは1mm四方のサイズであるが,これよりも小さい0.6mm程度のものを作製する予定である.素子が小さくなることは感度の低下にもつながるといったデメリットがあるが,探触子を小さくすることができるので,走行しやすいといったメリットもある.現行の大きいものではメリットとデメリットが逆になる.当初の予定と検討順序が逆になったが,最終的な成果としては,影響はないものと考えている.探触子を用意した後には確認のために実験室レベルでの疲労試験と探傷試験を行う予定である. 第三は縦横リブ交差部に対応した治具の開発および開口合成プログラムの改良である.疲労き裂は拘束力の強い縦および横リブが交差する位置に発生しやすいことがこれまでの検査よりわかっている.そのためには,角度調整のできる治具や角度情報を考慮できるように開口合成プログラムを改良する必要がある.第三の検討は翌年度以降となる可能性が高い.
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Causes of Carryover |
今年度より,実際の橋梁での現場計測の機会をいただけることになり,探触子の素子寸法の検討を行わなかったので,探触子を購入する費用が使われなかった.次年度は探触子を購入する予定であるので,予算を執行することになる.なお,現場計測は今後も行うことができるので,現場に即したシステム開発を行うことも今後とも十分に可能である.
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