2018 Fiscal Year Research-status Report
津波被災により生じる都市機能麻痺に対する災害支援トリアージの構築
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18K04378
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
鴫原 良典 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (90532804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福谷 陽 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (10785322)
多田 毅 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (50535490)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 津波 / 地震 / 防災 / リスクマネジメント / 災害支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,津波発生直後の被害を最小限に抑え,かつ深刻化することを防ぐための津波リスク低減策を提案することを目的として,津波被災により都市機能が麻痺した場合に必要となる支援量を事前に見積もり,さらに優先的に支援する地域を判断するための手法「災害支援トリアージ」を構築する. 2018年度は,はじめに,対象地域である三浦半島5市町(横須賀市,三浦市,葉山町,逗子市,鎌倉市)に関するデータベースを作成した.具体的には,行政・インフラ施設(警察・消防・医療・上下水道)の位置,数,規模,そして施設に関する情報や,各自治体の人口統計データ,南関東地域の陸上・海底地形等について,GISソフトウェア上で統一的に取り扱えるようにデータ化した.また,取得した陸上・海底地形モデルを利用して,津波伝播・遡上計算プログラムを構築した.これら上記のデータを利用して,相模トラフで想定されている最大クラスの地震(元禄型関東地震M8.5)と比較的頻度の高い地震(大正型関東地震M8.0)に対する津波浸水計算を行った.そして,警察・消防の行政機関の被害と住民の人的被害を算出し,両者を比較することで災害発生時の救助活動能力を試算した.一方で,次年度以降に行政・インフラ施設に対する確率論的な津波被害評価を行うため,従来の手法よりも比較的簡易で,計算負荷も小さい応答曲面法を相模トラフ地震へ適用する基礎的検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で示した通り,2018年度に実施予定とした研究内容について,概ね具体的な成果を得ることができている. 津波被害推定のために必要なデータセットについては収集がほぼ完了している.確率論的津波ハザードモデルの構築においても,地震マグニチュード別の震源モデルの作成が計画通り進められており,次年度に実施する津波被災による支援量の推定に予定通り進めることができるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,当初の予定通り前年度に構築したデータを利用して,津波被災時に必要となる支援量を推定する手法を構築する. 救助活動支援については,まず,津波浸水計算により被災者(要救助者)を推定し,それに対する警察・消防などの救助可能者がどの程度,救助可能かを見積もる.その際,救助可能者には1人当たりの救助可能な人数(救助能力)を過去の災害での実績等から仮定する.そして,特に被害が甚大であるため救助活動が困難であると判断され,行政機能が麻痺した場合について,他の余裕のある自治体が支援できる・できない等の可能性を定量的に評価する.上記と同様の手法を用いて,医療施設の支援量も推定する.なお,行政機関の被害推定に関しては,応答曲面法に基づいたモンテカルロシミュレーションから得られる行政施設での津波浸水深の頻度分布と津波被害関数を組み合わせることによって確率論的に評価する. 以上で示した,支援量の推定に関する検討と行政機関被害の確率論的評価については,それぞれ平行に検討を進め,進捗状況に応じてお互いの結果を随時反映させる予定である.
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Causes of Carryover |
当初は、H30年度にワークステーションを購入する予定であったが、確率論的津波ハザードの構築のための津波浸水計算が次年度に実施することになったため、今年度中の同物品の購入を見送ることにした。 したがって、発生した残額はワークステーションの購入に次年度、使用する予定である。
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