2022 Fiscal Year Annual Research Report
Implementation of effective legislative system for land use and construction for flood risks reduction
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18K04487
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
馬場 美智子 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (40360383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡井 有佳 立命館大学, 理工学部, 教授 (50468914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水害 / 土地利用規制 / 建築規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
水害リスクに応じた適切な土地利用や建物の建築へと誘導・規制する減災対策が進まない日本においては、制度と運用に関する研究を進めていく必要がある。2020年代に入り、都市計画法や流域治水関連法などにおいて、水害リスク軽減のための土地利用・建築規制のための制度が整備されてきている。しかし、それらの実効性においては不明であり、効果と限界、今度の課題について整理した。 まず、水害リスクを考慮した土地利用・建築規制に関わる制度と運用を調査するために、国の制度、地方自治体の取組を調査した。また、海外の事例として、イギリスとフランスの水害リスクを考慮した都市計画制度とその運用実態について調査し、日本の制度と運用と比較分析を行った。 制度面では、英仏では通常の都市計画制度の中で水害リスクを考慮したゾーニングと、それに基づいた建築許可、開発規制が行われているのに対し、日本ではハザードごとの個別法に基づいて土地利用規制や建築規制が行われていることがわかった。英仏の制度の利点としては、土地利用や建築を行おうとする際に、必ず災害リスクを考慮しなければならない仕組みになっている。他方日本では、都市計画に置いて水害リスクが必ずしも反映されない場合が多い。 運用面において、特にフランスでは実効的に建築・土地利用規制が実施されているのに対し、日本では制度はあっても運用が進んでいないことが多い。その理由としては、日本において実効における責任の所在の曖昧さや権限の問題があり、その背景に住民の合意が得られない事や私権への介入の難しさがある。 また、地方自治体の取組として、滋賀県、京都府、徳島県などが、土地利用・建築規制に関わる内容を条例に位置付けているが、実効的に運用しているのは滋賀県のみであった。住民に近い地方自治体においては、住民の合意が得にくいなどの困難があり、運用には慎重な自治体の姿勢が明らかになった。
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Research Products
(6 results)