2018 Fiscal Year Research-status Report
Practical Research for Establishment of Management Model and Higher Level Residential Environment regarding Shelter
Project/Area Number |
18K04494
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
平田 京子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70228782)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20151342)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 避難所 / 運営手法 / 地域コミュニティ / 地震防災 / 住民自治 / 居住環境 / 自助・共助・公助 |
Outline of Annual Research Achievements |
大地震発生後の避難所は、家屋被害や焼失で失った被災者の住まいとなり、生命と生活を守る空間として重要な役割を果たすほか、自宅避難生活者も含めた地域住民の復旧・復興拠点となる。避難所で暮らす最大人数は、首都直下地震の東京都想定(2012年)によれば東京23区だけで200万人を超過する。本研究では、避難所運営のための住民の準備状況・居住環境を評価し、改善項目を明確化した上で、実際の避難所の環境改善と機能を高度化するための実践型研究を神栖市等で実施する。 研究計画としては、これまでの避難所運営経験を文献等から広範囲に調査し、避難所を類型化して運営に関するすぐれた手法を把握する。それらを基に避難所で事前に検討すべき項目の整理(チェックリスト)と、避難所の居住環境向上のための評価方法を検討する。 当該年度の研究計画として、避難所の円滑な運営方法の構築を東日本大震災や熊本地震等の避難所運営経験者へのヒアリング調査および文献調査からまとめ、避難所運営の実態とその改善方策をまとめた。 研究成果として、避難所生活者人数の規模によって運営統括者の状況・住民自治の成立しやすさが異なることから、規模別・時間経過とともに避難所の運営方法をとらえる必要のあることが分かった。特に生命に関わる建物使用の判断など住民自治だけでは責任を果たすことに限界のあるものがあり、地方自治体が意思決定者の最終的主体になることが必須となる。一方、現場での生活は住民自治体制をとるのが理想的であることから、これらの両面を時間軸で考慮した運営方法について全体を見通しながら組織化を図り、構築していくことが求められることを明らかにした。これらの成果は日本建築学会等で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は予定通りに進行しており、文献調査は目標を達成した。さらに研究対象地である茨城県神栖市との連携もとれており、数回の打ち合わせを行った。 文京区での研究実施は文京区の準備状況がすぐれており、時期を焦らないことから次年度に送ることにしたが、文京区との協働体制は従来からとれており、協働して作成した「避難所スターターキット」が各避難所に配備完了の運びとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究当初は、神栖市及び文京区で調査やワークショップ等を行うことを予定していたが、当該年度は、神栖市に集中し、文京区を次年度以後に回すこととした。 また、初年度は文献調査やヒアリング結果のまとめを中心にしたため、今後に行うものとして、避難所運営のシステム構築、アセスメントに用いるチェックリストのまとめ、外部から行う避難所の運営アセスメント、住民へのアンケート調査を行う。 これらは当研究メンバーだけの議論ではなく、外部有識者とも議論を深めることを行う。あわせて行政の考える運営方法とのすりあわせが必要であり、それらを推進する計画である。
|
Causes of Carryover |
当該年度は、研究代表者および研究分担者がそれぞれ学内の役職に就任したことに伴い、研究活動に制約があったため、予定していた研究調査が実施できなくなったことによる。そのため学内でできる文献調査に焦点をしぼり、文献やwebでの調査・まとめ作業を行う人件費として支出した。このため文献調査および考察作業ははかどっており、研究の成果を着実に上げることができたため、学会での発表等につながっている。また研究分担者については、役職就任で多忙のため当該年度の支出を延期し、次年度に調査・分析等に要する費用を支出することとした。 翌年度分は、人件費は継続して支出し、学会発表等の発表費用、出張旅費、および研究調査のための物品、関連資料印刷や交通費等に使用することを計画している。
|
Research Products
(5 results)