2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K04499
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
村井 裕樹 日本福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30455563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 英祐 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50167011)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 片まひ / 防火戸 / 避難安全 / 火災 / 取手 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究は、前年度に実施した片まひ者が防火戸を押し開けて通行する実験、および引き開けて通行する実験で得られたデータを分析し、防火戸通行時課題(動作の特徴や所要時間等)の課題を明らかにすること、また通常歩行に対する時間的遅れから防火戸通行時の課題を明らかにすることを目的とした。研究は概ね計画通り実施できた。具体的には次のことが明らかとなった。 なお防火戸を引き開ける実験で使用した取手は、ケースハンドル、掘り込み引き手、トランクハンドル、縦型ハンドルの4種類である。 ①防火戸を引き開けて通行する所要時間はケースハンドルが最も長く、他の取手に比べて1.6~3.7倍を要した。また動作観察より、ケースハンドルに触れたもののうまく掴めない場合や、掴むのに時間が掛かる場合など課題が見られた。一方、所要時間が最も短いのは縦型ハンドルであり、防火戸通行に関わる一連の動作も最もスムーズであった。また、麻痺側の差異による所要時間の差も見られ、麻痺側と蝶番の設置側との関係が影響している可能性があった。 ②取手形状の使いやすさについては、ケースハンドルが最も低く、縦型ハンドルが最も高かった。これは所要時間の長短ともつながる結果であった。また、防火戸引き開け時の課題については、「開ける瞬間に力が必要である」との回答が非常に多かった。これは片まひ者は防火戸を引き開ける手と身体を支える足が同じ側となるため、戸を引き開ける十分な力が入りにくいことが反映されたと思われる。 ③防火戸を通行した際の遅れ時間については、押し開ける場合が平均約4秒であるのに対し、引き開ける場合はこれに1~2秒程度長くなることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に収集した実験データの分析を進め、取手形状の違いによる防火戸通行の所要時間の差について定量的結果を得られた。また動画分析から、片まひ者が防火戸を引き開ける際に起こる危険性について実態を把握できた。さらに、防火戸通行による所要時間の遅延について分析を行い、遅延時間と遅れ距離の関係性について定量的に明らかにした。 以上おおむね計画通りの研究を実施できたため、区分のとおりの進捗状況と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に得た実験データ・アンケートデータの分析を引き続き実施する。令和元年度の分析で片まひ者の麻痺側と蝶番側の関係での所要時間の差が現れるなど、身体特性に関わる知見が得られたた。そのため、引き続き実験を行ったリハビリテーションセンターの医師とエンジニアから適切な助言を受けつつ分析を進めることを計画する。また、研究最終年度となるため、研究結果の集約を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた分析および学会発表等は計画通り実行できたが、研究打ち合わせについて電子メールで代用し交通費を抑えたことなどの理由から、次年度使用額が生じた。この金額については、2020年度の分析に関する謝金、研究打ち合わせ、学会への参加費などに使用する計画である。
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