2018 Fiscal Year Research-status Report
データベースをつうじた地域と科学の知の統合による気候応答型居住環境の創出
Project/Area Number |
18K04509
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 協太 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40434980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 尭宙 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (10751993)
包 慕萍 東京大学, 生産技術研究所, 協力研究員 (40536827)
甲山 治 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70402089)
柳澤 雅之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (80314269)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 居住環境 / 気候応答 / データベース / 適正技術 / インフォーマル居住地 / コロンボ / スリランカ |
Outline of Annual Research Achievements |
気候応答型居住環境データベースのアーキテクチャーを構築するため、4月、7月、10月の3度にわたり、建築学と情報学の研究者による情報学ミーティングおこなった。さらに、5月、10月の2度にわたり、建築史学、建築環境工学、情報学、気候学・水文学、農学の研究者からなる全体ミーティングをおこなった。全体ミーティングでは、データベースのアーキテクチャーにおいて、異なる分野の視点が整合的に組合わされるよう、各分野の視点を交わらせながら、アーキテクチャーのプロトタイプを対象に、全体の構成の確認と、個別の修正箇所と修正法の検討をおこなった。加えて、具体的事例のページについてもプロトタイプの作成をおこなった。 検討会をつうじて、気候応答型居住環境データベースのアーキテクチャーを構築する上で解決が必要な2つの課題を明確にすることができた。また、具体的事例の記述でも、解決すべき課題を明確にした。 研究成果の社会への還元として、6月に金沢大学で研究会「私たちのアジア都市・建築」をおこない、10月に武庫川女子大学生活美学研究所で研究会「地域と科学の知の統合による気候応答型居住環境の創出~気候に適応した居住環境と形態~」、12月に台湾大学芸術史研究所で研究会「海域アジアの暮らしと移動」などをおこなった。2019年3月には、チェンマイ大学(タイ)建築学部において、“Sri Lankan Architecture and City”と題する講義をおこなった。気候応答型居住環境データベースの構築に関連して各研究者の執筆した論文、書籍などの業績は別に記すとおりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
建築学と情報学の研究者による情報学ミーティングが順調に進んだ。気候応答型居住環境データベースのアーキテクチャーについて、課題となる具体的箇所が明らかになり、完成までの筋道が明確となった。具体的事例のページについてもプロトタイプは作成することができた。現在のところ、目だった問題は生じていない。研究の進捗にあわせて、必要な箇所で計画の前倒しをおこなう。
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Strategy for Future Research Activity |
全体ミーティングを通じて、気候応答型居住環境データベースのアーキテクチャーで2つの具体的課題が明確となった。1つは、気候学と建築環境工学における、熱循環を捉える概念図式の相違である。両者の理論を包括する統合的説明が必要である。2つ目は、居住環境の気候応答事例と、それに対応する具体的気候との空間上での関連付け方である。加えて、具体的事例の記述における課題が1点明らかとなった。それは、建造物を熱循環の仕組みとして捉える視点と、具体的素材の組み合わせとして捉える構法的視点という、2つの異なる視点の接合である。これまでの検討から、形態上の特徴が両者を媒介する要素となると考えられる。今年度はこれら3つの課題の解消を中心に検討会をおこなう。課題解消に向け、建築環境工学の宇野朋子氏に新たに研究分担者に加わっていただき、専門的知見を補強する。加えて、検討会では必要に応じて関連分野の研究者を招聘する。 異なる分野の研究者の間で居住環境の気候応答を捉える視点を共有するため、可能であれば、具体的事例を実地で検討する機会を設ける。データベースの進捗によっては、コロンボ(スリランカ)における気候応答型居住環境の具体的デザインを前倒ししておこなう。研究成果は随時社会へ還元する。
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Causes of Carryover |
2018年度出版予定で、購入予定しているEncyclopedia of Vernacular Architecture of the World第2版が2018年度に出版されていないため、その予算を使用していない。上の書籍から気候応答型居住環境の事例を抽出する作業として確保した謝金も、使用せず次年度使用額として取り置いた。次年度使用額として取り置いた研究費は、Encyclopedia of Vernacular Architecture of the World第2版が出版され次第使用する。
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