2021 Fiscal Year Research-status Report
データベースをつうじた地域と科学の知の統合による気候応答型居住環境の創出
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18K04509
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 協太 筑波大学, 芸術系, 准教授 (40434980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 尭宙 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (10751993)
包 慕萍 東京大学, 生産技術研究所, 協力研究員 (40536827)
甲山 治 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70402089)
柳澤 雅之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (80314269)
宇野 朋子 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (90415620)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気候応答型 / 居住環境 / ヴァナキュラー建築 / 3Dモデル / 生活パタンモデル / シミュレーション / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、地域に歴史的に形成された居住環境の主要要素である住居についてその物理的側面を3Dモデル化して、主に住居内部について、小さなスケールで生まれる空気状態(すなわち微気候)をシミュレートする手法を構築した。 対象としたのは、東アジアを代表する歴史的住居である、清代北京の四合院である。 はじめに、建築史の視点からの研究として、建設時期の確実な事例の実測図面をもとに清代北京の四合院について、その寸法体系と空間構成手法とを実証的に定め、3Dモデルとして復元した。続いて、地域研究の視点からの研究として、20世紀前半における北京とその周辺の民家の調査記録を参照して、四合院は今日と異なり、かつてカンと呼ばれる床暖房設備を備えていたことを確認するとともに、北京周辺およびその西、東、北の大同近郊、沈陽周辺、内モンゴルで、カンを用いる生活あるいはカンを用いていたかつての生活の仕方についてインタビュー調査をおこない、そこから、季節および日ごとにカンに投入するエネルギー量とタイミングとをモデル化した。最後に、住居の3Dモデルと生活の中でのカンへのエネルギー投入パタンのモデルとを統合してシミュレーションをおこない、清代北京四合院の主要な生活の場である正房について、冬季の住居内に生まれる微気候(空気状態)を読解した。 シミュレーションをつうじて地域の歴史的住居の気候応答の仕組みと効果を分析、検証することが、気候応答性能を備えた居住環境をデザインする上で有効な知となることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、期間中にコロンボ(スリランカ)で気候応答型の建造物を設計、建設し、そこに生まれる空気状態を計測する計画を含む。気候応答型建造物の設計、建設まで実施したが、新型コロナウィルスの影響で2020年度、2021年度に海外渡航をすることができず、建設した気候応答型建造物の空気状態は計測できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロンボ(スリランカ)に建設した気候応答型建造物の空気状態を計測する計画をしていたが、新型コロナウィルスの影響で海外渡航をすることができず、実際に空気状態を計測することができるか不確実な状況である。空気状態の計測をおこなえない場合に備え、計測をおこなわずに建造物とその周囲の空気状態を把握する方法として、シミュレーションの手法を開発することとして昨年度から作業をおこなっており、今年度もこの方向の作業を進める。 建造物の3Dモデルを作成し、エネルギー投入パタンのモデルを作成し、これらを統合して建造物内外の空気状態のシミュレーションをおこなうことは、熱帯建築、ヴァナキュラー建築、民族建築の視点を統合して新たな知見を得る作業であることが分かった。建造物内外の空気状態のシミュレーションを気候応答型居住環境データベースの事例分析に用い、分析事例を蓄積することでデータベースの実効性を高める。 あわせて、フィールドでの調査、実際の建造物内外の空気状態の計測を渡航可能な状態となり次第積極的におこなう。
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Causes of Carryover |
海外へ渡航できない状況が続いたため、主として現地調査および国際研究会の開催費を使用しなかったことにより次年度使用額が生じた。次年度使用額は、現地調査および国際研究会の開催費に優先的に使用する。加えて、建造物内外の空気状態のコンピュータを用いたシミュレーション手法の開発およびシミュレーション、研究業績の発表を中心に使用する。
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Research Products
(9 results)