2018 Fiscal Year Research-status Report
環境対応型潤滑油の天然海水混入条件下におけるトライボロジー特性
Project/Area Number |
18K04578
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
地引 達弘 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40322094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 俊和 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70508514)
菅原 隆志 東京海洋大学, 学術研究院, 助手 (90456319)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トライボロジー特性 / 環境対応型潤滑油 / 天然海水混入条件下 / 3ピンオンディスク摩擦試験装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年12月19日に施行された米国環境保護庁(EPA)による船舶入港規制では,海水に接しているオイルを使用する全ての機器に環境に適合した潤滑油を使用しなければならないと明記されている.これにより船舶機器内のオイルに生分解性,非毒性,非生物濃縮性を有する環境対応型潤滑油(Environmentally Accepted lubricants:以下EALという)の使用が義務付けられた.このため,脂肪酸エステル系の EAL が船尾管軸受の潤滑油として広 く使用されるようになっている.一方,EAL を使用するにあたっていくつかの問題が生じている.船尾管軸受などの機器内に海水が混入した場合,これらに使用される EALが,加水分解を生じる可能性があるため,このような条件下におけるトライボロジー特性,特に摩擦・摩耗特性が,通常の使用条件下におけるそれと大きく異なる可能性がある.本研究では,船尾管軸受とプロペラ軸の間の潤滑部を対象に,それに使用されるEALに天然海水が混入した際のトライボロジー特性,特に摩擦特性を3ピンオンディスク摩擦試験機により解析し評価した. この試験装置では、試験部の上側に船尾管軸受材にて製作したディスク試験片を設置し,その下側に船舶用プロペラ軸材にて製作したピン試験片をしゅう動直径 38mmの円周上に 3つ配置する.試験部は潤滑油で満たされている.試験部の下側から油圧アクチュエータにより垂直力を負荷し,モーターにてディスク試験片を回転させることにより,両試験片の間にせん断力を負荷する.この際に生じる摩擦力をトルク検出部に設置されたひずみゲージにより得る.得られた結果を基に各種EALの摩擦特性を評価する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)天然海水混入条件下での3ピンオンディスク摩擦試験結果での実験結果はばらつきが多く,ストライベック線図を用いて評価した場合,安定した実験結果を得ることが難しい状況であるが,この原因が突き止められていない. 2)天然海水中でのEALが生分解性を起こすことが考えられるが,潤滑油の量が多いため(6リットルのEALに対して600cc),これらの確認が困難である. 3)今後は、海水混入後,2週間,4週間,6週間経過後のEALおよび従来油のトライボロジー特性を解析することになっているが、これらの結果を十分にまとめられていない. 以上を総合して,「やや遅れている」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、主に以下を実施する. 1)天然海水を本学練習船汐路丸にて、伊豆大島沖で採取予定する. 2)天然海水混入条件下において、従来油と飽和エステル系EALの特性を解析評価する. 3)得られた成果を、日本マリンエンジニアリング学会学術講演会等にて発表する.併せて日本機械学会に査読付き論文を投稿する.
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Causes of Carryover |
当初予定では,老朽化した油圧ユニットの交換経費を計上しているが,現在稼働している状況であるので,この交換作業を次年度以降に実施することとした.よって次年度使用経費が生じた.今後,装置の様子を見ながら交換作業を実施する予定である.
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Research Products
(2 results)