2019 Fiscal Year Research-status Report
環境対応型潤滑油の天然海水混入条件下におけるトライボロジー特性
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18K04578
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
地引 達弘 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40322094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 俊和 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70508514)
菅原 隆志 東京海洋大学, 海洋工学部, 助手 (90456319) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境対応型潤滑油 / 天然海水 / トライボロジー特性 / ストライベック線図 / 粘度 / 3ピンオンディスク摩擦試験装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)環境対応型潤滑油(以下EAL)においては、温度の影響を強く受けることが報告されており、特に温度上昇が生じると、トライボロジー特性が悪化する可能性がある。 2)このことに着目して、まずは、潤滑油の基礎データとなりうる粘度について調査を実施した。すなわち、EAL、および従来油の静粘度と温度の関係を調べた。なお、EALは、トライボロジー特性が比較的安定して優れていると言われている、飽和エステル系潤滑油を選択した。測定は、音叉型振動式粘度計を用い、メーカーが公表している物性値から求めた静粘度も併せて使用した。また、それぞれの潤滑油に天然海水を10%混入させたものについても同様に調べた。実験は、天然海水未混入の潤滑油の他、①混入直後、②1週間後、③2週間後、④3週間後、⑤4週間後について行った。その結果、従来油潤滑油の場合、天然海水を混入させると小さい静粘度になる傾向にあるが大きく変化しない。飽和エステル系EALの場合も、天然海水を混入したことによる静粘度の変化は小さかった。 3)ピンオンディスク摩擦試験装置を用いて、ピン試験片を船尾管軸材(鋼材)とし、ディスク試験片を軸受け材(ホワイトメタル材)として、両試験片を接触させ、垂直荷重をかけた状態でディスク試験片側を回転させながら、EALと従来油の摩擦力を測定し、得られた結果をストライベック線図にプロットして評価した。油温は、40、60、80℃とし、荷重4.08MPa、しゅう動速度78~181mm/2(5種類)とした。その結果、40℃ではどちらも大きな摩擦係数となり、60℃では従来油でしゅう動速度とともに摩擦係数は小さくなり、EALでは反対に大きくなった。80℃では60℃のときとほぼ同程度の摩擦係数となり、EAL、従来油どちらもしゅう動速度とともに摩擦係数は大きくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)環境対応型潤滑油の温度に着目して、油温を40、60、80℃と変化させ、粘度を測定した結果、天然海水が混入しても、それほど大きな変化は見られず、影響は少ないものと考えられた。また、トライボロジー特性を調べるため、3ピンオンディスク摩擦試験装置を用いて摩擦係数を測定し、ストライベック線図にプロットして評価した結果、特に60、80℃の高温下では、どちらの潤滑油も摩擦係数は予想に反して40℃のときよりも低くなった。 2)次年度は、面圧を変化させた際にトライボロジー特性に及ぼす影響を調査するとともに、油温を変化させた際にトライボロジー特性に及ぼす影響を調査することにも主眼をおいて研究を遂行する。 3)さらには、天然海水を混入させた場合に、どのような影響が生じるかを、天然海水を混入して4週間後のEAL、従来油を用いて3ピンオンディスク摩擦試験装置により摩擦係数を求め、ストライベック線図上で両者を評価する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)今後の研究の推進方策として、面圧pの影響を調査するため、油温を60℃一定とし、面圧pを2、4、6MPaの3通りとし、しゅう動速度vを78~181mm/2の間で5段階に変化させて、EALおよび従来油の摩擦係数を、3ピンオンディスク摩擦試験装置により求め、ストライベック線図にプロットして評価する予定である。 2)併せて、油温Tの影響を調査するため、面圧pを4MPa一定として、油温Tを40、60、80℃の3通りとし、しゅう動速度vを前述と同じく5段階に変化させて、同様にEALと従来油のトライボロジー特性を評価する予定である。 3)天然海水混入の影響を調査するため、6リットルの潤滑油に10%、600ccの天然海水を混入させて、4週間後のトライボロジー特性を、未混入のそれと比較、調査する予定である。実験条件は、面圧pが4MPa、油温Tが60℃、しゅう動速度vは前述と同じ5段階とする。 4)得られた結果をまとめ、公益財団法人 日本マリンエンジニアリング学会の学術講演会で発表する。
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Causes of Carryover |
1)下記1)2)の計画に沿って研究を遂行するため。 (使用計画) 1)従来油の残量がわずかであり、追加での購入を予定している。1リットル当たり500円×40リットル=20千円を予定している。 2)成果発表のための旅費として、60千円を予定している。
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Research Products
(2 results)