2018 Fiscal Year Research-status Report
添加剤による層構造制御を軸としたLi伝導性酸化物材料のデータ駆動型機能創出
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18K04700
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 友幸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90415711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Liイオン電池 / 固体電解質材料 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題で実施する,「膨大な探索空間の中から有効な添加元素を発見するデータ駆動型機能創出」のためには,計算負荷の大きい第一原理計算を極力避けて効率的に安定構造を探索するシステムの構築が必須である.そこで,本年度は,第一原理計算とベイス最適化を組み合わせた安定構造探索システムの構築および有効な記述子の開発を行った. すでに作成済みの約9万通りのLa2/3-xLixTiO3 (x=0.11)の配置パターンについて,計算負荷の少ない経験的ポテンシャルを用いた全パターンの緩和計算は可能である.緩和前の構造についての記述子を開発し,これらを用いてベイズ最適化した場合でも,緩和後の安定構造について20回以内の試行で最安定パターンが見つかることを確認した.これは,多くの計算時間を要する構造緩和過程を避け,かつ膨大なパターンのうち少数のパターンのみ計算すればよいことを意味しており,効率的な探索に繋がる.しかしこれらは全データを採取した後のデモンストレーションに過ぎず,計算負荷が大きく全パターン計算が不可能な第一原理計算による安定構造探索には使えない.そこで,(i) 候補となる配置パターンの第一原理計算を実行し,(ii) 得られた結果のベイズ最適化から次候補を決定する, というサイクルを並列計算機で実行できるシステムを構築した.まず,緩和前の構造のエネルギー予測については良好な結果が得られることを確認した.また,緩和前の構造から緩和後のエネルギーを予測することも概ね可能である見通しがついた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一原理計算とベイス最適化を組み合わせた安定構造探索システムの検証のためには,実際に計算負荷の大きい第一原理計算を実行する必要があり,少し時間を要したが見通しがついた.また,ベイズ最適化に有効な記述子の開発にも少し時間を要したが,構造緩和前の記述子を用いて構造緩和後のエネルギーを予測し安定構造を探索することは,これまでの経験上容易ではなく,時間を要することは想定済みである.本年度のシステム構築および記述子開発により,様々な添加元素を含む系の計算に移行できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,[1]添加元素探索および[2]粒界近傍でのLi拡散シミュレーションを実施する. [1]これまでは配置パターンのみの探索であったが,添加元素種およびそれらの置換サイトの自由度が増え,それらを含めた空間探索が必要となる.まずはTiサイトへの遷移元素置換に限定し,安定な置換サイトを効率的に探索可能な記述子を開発する.その上で, (添加元素種)×(配置パターン)×(置換サイト)の空間探索を実行し,安定構造においてLa-rich層とLa-poor層とでLa占有率の差が大きくなるものを見つける. [2]これまでに探索した結晶安定配置パターンについて粒界モデルを構築し,安定粒界構造を探索した後にLi拡散シミュレーションを実行する.
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Causes of Carryover |
(理由) 外国語論文校閲として計上していたが,論文校閲を利用しなかった.また,外国旅費として計上していたが, PC購入の必要が生じたためにPC購入を優先したために差額が生じた. (使用計画) 2019年度の大型計算機使用料として使用する.
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Research Products
(6 results)