2019 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of double helix pi-conjugated oligomers
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18K05092
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
長谷川 真士 北里大学, 理学部, 講師 (20438120)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 円偏光発光 / キラリティー / CDスペクトル / キラル化合物 / π共役系化合物 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
π共役系の発色団をキラルな状況に配置すると、π共役系の特徴を活かしたキラル光学特性を示す。本研究では面不斉シクロファンや軸不斉ビナフチルを用いて、π共役系分子をラセン状に配置する分子設計で、顕著な円偏光発光(CPL)を示す新しい色素分子の創成を目指した。2019年度は前年の結果を踏まえて、1)シクロファンを基軸に拡張した二重ラセンの構築と、2)剛直な軸不斉二量体による円偏光発光の増幅、の2つに焦点を絞り研究を行った。
1)シクロファンを基軸に拡張した二重ラセンの構築 前年度、擬オルト[2.2]パラシクロファン(PC)の二重ラセン分子の合成に成功した。今年度は、π共役系ユニットを挟み込んだ二重ラセンを構築し、ユニット間の相互作用に着目して研究を行った。具体的にはビフェニルスペーサーを挟み込んだ分子を合成した。X線結晶構造解析からは、二重ラセン状にスタックした構造が観測された。CD及びCPLスペクトルを測定し、捩じれながらスタックしたフェニレンユニットの相互作用を検証した。 2)剛直な軸不斉二量体による円偏光発光の増幅 前年度より環状ビナフチルの二量体が中程度のCPL特性を示すことが明らかとなった。これより、励起状態から基底状態に変化する際の構造緩和の減少を目的として、新しく、2,2'-位を架橋した剛直な軸不斉二量体化合物の合成を行った。架橋アルキル鎖の長さをメチレン、エチレン、プロピレンと系統的に変化させると、CPL特性の減少がみられた。メチレン、エチレンで架橋した化合物では、g=0.01程度の通常の有機化合物よりはるかに大きなCPL特性を発現することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である[2.2]パラシクロファンからなる二重ラセン構造の構築に加えて、今回新しくビナフチルによる二重ラセン構造の核となる「ねじれ構造」を構築し、これまで未知であった「円偏光発光が増幅される起源」を明らかにすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、円偏光発光の増幅には「磁気遷移双極子モーメントの増幅」に加えて、「励起状態の非局在化」が鍵であることがわかった。今後は、励起状態ができるだけ広く非局在する分子を開発し、より強い円偏光発光を示す分子へアプローチする予定である。
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Causes of Carryover |
2020年2月に、他機関(近畿大学)にて出張測定およびバンコクにおける国際会議で成果発表を行う予定であったが、COVID-2019のために出張を断念したため。
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