2018 Fiscal Year Research-status Report
積分方程式/第一原理計算結合理論を用いた電極界面現象の解明
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18K05307
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
山本 雅博 甲南大学, 理工学部, 教授 (60182648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電極界面 / 電位 / 積分方程式 / 微分キャパシタンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,1)氷表面の第一原理計算,2)金属電極表面(Al(100)面, Ag(100)面)のQuantum Espresso(QE)コード(https://www.quantum-espresso.org/ )を用いた第一原理計算,3)金属電極帯電表面(Al(100)面, Ag(100)面)の第一原理計算としてQE+ESM(Effective Screening Medium有効媒質理論)法をもちいて金属|真空界面での電位分布を求めた。さらに,4) NaCl電解質水溶液|Al(100)電極帯電界面とRISM(Reference Interaction Site Model)積分方程式を結合させた第一原理計算(QE+ESM+RISM)計算を行い,電極から沖合へのイオン分布を求めるところまで完了した。ただし,計算は濃度は1点(1 mol dm-3)で正に帯電した電極の電位もある一定の条件でしか計算できなかった。すべての計算は,産総研の大谷らが作成したコードを用いた。1), 2), 3)ではこれまで報告された理論計算とよく一致し,本研究での計算が正確に求められていることを確認した。4)では,多くの帯電状態や多くの電解質濃度での計算はできなかったが,正に帯電した電極表面からのナトリウムイオンおよび塩化物イオンの動径分布関数を求めたところ,物理的に意味のある結果となった。実験結果と比較するには,多くの帯電状態(電位)および多くの電解質濃度について求める必要があるが,3)の計算で,その計算結果を解釈するところで多くの検討を重ねたため,本年度はそこまで到達しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提出した計画では,1年目に例えばAg(111)面|NaClO4水溶液界面のように実験結果でその微分キャパシタンス(帯電している電極の電荷面密度と電位の関係から求められる。)がよく調べられている系に対して,第一原理計算+ESM+RISM計算を行うとした。本研究では,電極としてはほとんど使用しないAl表面と電解質としては,特異吸着の可能性があるNaCl水溶液を用いた。ただし,第一原理計算+ESMではAg(100)表面の計算は行っている。従って,現在のところほぼ研究計画通りの結果が得られたものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度計算したAl(100)面でのQE+ESM+RISM計算をさらにおこない,多くの帯電状態での電位差と界面電荷密度を求め,理論的に微分キャパシタンスを求める。次に同様な計算をAg(100)面で行い,さらにAg(111)面に拡張して,微分キャパシタンスを求める。電解質をNaClからNaClO4に変えるためには,RISMでの計算パラメーターを調整する必要がある。これまでの文献値をしらべ,そのパラメータでいいのか慎重に検討する必要があるので,1年あるいは2年を要することが予想される。
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Causes of Carryover |
当初Winmostarというこの研究で用いるwindowsソフト(QE+ESM+RISM、見積もり額65000円)の購入のために,研究費をストックしていたが,ソフトの販売時期が年度末まで延びたために,次年度使用額105279円を計上した。
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Research Products
(9 results)