2018 Fiscal Year Research-status Report
アンカーレスタンパク質を介した乳酸菌の宿主接着機構の解明
Project/Area Number |
18K05405
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福田 健二 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (80419217)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 菌体表層タンパク質 / アンカーレスタンパク質 / 静電相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
30Sリボソーマルタンパク質S19(RpsS)が示すLactobacillus rhamnosus FSMM15株とFSMM22株の菌体表層局在性に関する相違を明らかにするため、本年度は両菌株における菌体表層構造に着目して研究を行った。以前の研究により、両菌株は菌体凝集性や超音波破砕に対する菌体ロバストネスに違いがあることが示されており、菌体表層構造が異なることが示唆された。そこでキシレン添加による菌体沈殿形成の度合いから、過去に実施した実験と同様にFSMM15株と比較してFSMM22株の菌体表層疎水性が約10%高いという結果を得た。また、透過型電子顕微鏡による観察の結果、FSMM22株のペプチドグリカン層外側にラフな構造を認めたが、FSMM15株にこれは存在しなかった。同構造はルテニウムレッドで染色されたことから、負電荷をもつ菌体外多糖である可能性が強く示唆された。RpsSがpI値10程度の強塩基性タンパク質であることから、RpsSがFSMM15株の菌体表層では検出されずFSMM22株の菌体表層に検出される要因の一つとして、静電相互作用によるRpsSの菌体表層への固定が示唆された。グリシン等の試薬を用いた菌体表層タンパク質の抽出量から、FSMM15株と比較してFSMM22株がRpsS以外にも多くのタンパク質を菌体表層に固定していることが示唆され、これに起因して両菌株の菌体表層疎水性が異なると考えられた。これらの結果を補完するためpH調整による菌体表層タンパク質の抽出を試みたが、菌体凝集を生じたため効率的な抽出は困難であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lactobacillus rhamnosus FSMM15株とFSMM22株が異なるRpsS菌体表層局在性を示す一因として、両菌株の菌体表層構造の相違を明らかにすることができた。しかし、FSMM22株の菌体表層に存在する負電荷物質を同定するには至っていない。また、菌体透過性に関する検証も未実施である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を踏まえ、令和1年度はFSMM22株の菌体表層に存在する負電荷物質の分離同定を試みる。また、臭化エチジウムを用いた菌体透過性の検証実験を実施する。以上の結果をもって菌体表層構造の観点から行う実験を完結する。さらに両菌株の菌体内で生じているであろう相違点を明らかにするため、両菌株から菌体内RpsSを単離し、それらのN末端構造にどのような相違があるかプロテオーム解析の手法により調査する。また、令和2年度実施予定のRpsSとラミニンの相互作用解析に使用するため、組換え体RpsSを調製する。
|