2019 Fiscal Year Research-status Report
アンカーレスタンパク質を介した乳酸菌の宿主接着機構の解明
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18K05405
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福田 健二 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (80419217)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 菌体表層タンパク質提示メカニズム / 乳酸菌 / ムーンライティングタンパク質 / リボソーマルタンパク質 / 細胞膜透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の研究において、30Sリボソーマルタンパク質S19(RpsS)のN末端19アミノ酸残基をペプチド抗原として得られた抗体を用いたウエスタンブロット解析の結果、RpsSはFSMM22株の細胞質内に検出されたが、FSMM15株では検出されなかった。RpsSはリボソームを構成する必須タンパク質であることから、FSMM15株においては抗原部位に何らかの修飾が生じているものと推定し、本年度は電気泳動法によりRpsSを含む画分を分離し、トリプシン消化後、質量分析器を用いてRpsS由来ペプチドのMSスペクトルを比較した。その結果、両菌株は同一のスペクトルパターンを示し、抗原部位に相違はないことが示された。前年度、両菌株は菌体表層構造が異なると示されたことから、その頑強性に違いがあるのではないかと推定し、従来は集菌後直ちに超音波破砕により無細胞抽出液を調製していた点を変更し、-80℃で一晩保存した後、解凍した菌体を用いて同様に無細胞抽出液を調製した。その結果、FSMM15株でも細胞質画分にRpsSが検出されたことから、両菌株において抗原部位であるN末端19アミノ酸残基に違いはないことが示された。また、培養期間にわたり経時的に回収した菌体から1M塩化リチウムを用いて菌体表層タンパク質を抽出しウエスタンブロット解析に供したところ、FSMM22株のみ対数増殖期初期において細胞質タンパク質の指標タンパク質として知られるRNAポリメラーゼが一過的に検出されたことから、同時期においてFSMM22株は細胞膜透過性が上昇している可能性が示された。RpsS組換え体発現用プラスミドを構築し、大腸菌での発現を上述の抗体を用いて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初仮定していたRpsSのN末端アミノ酸配列が菌体表層への提示に関与しているのではなく、対数増殖期初期における菌株特異的な細胞膜透過性の一過的上昇が関与している可能性を明らかにすることができた。同時期に菌体外へ漏出したRpsSが、菌体表層に菌株特異的に存在する負電荷物質と静電相互作用により固定されることが示唆された。また、RpsS組換え体の取得に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を踏まえ、令和2年度はFSMM22株の菌体表層に存在する負電荷物質の分離同定を継続して行う。また、本年度未実施である臭化エチジウムを用いた菌体透過性の検証実験を対数増殖期初期の菌体を用いて実施する。また、透過型電子顕微鏡を用い、対数増殖期初期におけるFSMM15株とFSMM22株の菌体表層構造の違いを観察する。ビアコアを用い、RpsSとラミニンの相互作用解析を実施する。
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Research Products
(1 results)