2019 Fiscal Year Research-status Report
カーラクトンから派生した新奇発芽刺激物質に関する生物有機化学的研究
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18K05452
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
謝 肖男 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (30610323)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / 非典型的SL |
Outline of Annual Research Achievements |
根寄生植物の種子発芽刺激物質として単離されたストリゴラクトン(strigolactone, SL)は、アーバスキュラー菌根菌(AM 菌)の共生に必須なシグナル分子であり、さらには植物地上部および地下部の形態形成を制御する植物ホルモンである。本研究では、非典型ストリゴラクトンの単離・構造解析を中心に、生理機能の解析および生合成経路の解明を行うことにした。 具体的に根寄生植物ヤセウツボ(O.minor)種子に対する発芽刺激活性を指標に非典型SLの単離を進め、種々の機器分析により構造解析を行い、同時に合成標品とのこれまでに蓄積した各種機器分析データの比較により構造決定を進行した。 本年度は主にイネ科植物を中心に非典型SLの探索を行い、イネ(ニホンパレ)、コムギ、オオムギ(シュンライ)およびライ麦の生産するSLを網羅的に分析した。その結果、計5種類の新規非典型SLの存在が示唆され、さらにイネ科植物に共通するSLも明らかにした。 また、陸上植物の基部に位置するコケ植物からストリゴラクトンの分析を行い、新規非典型SLの存在を示した。さらに本新規SLの単離・精製を行い、種々の機器分析において、構造解析を進めている。 また、典型SLおよび非典型SLにおける植物の根の分布を明らかにするため、イオンモビリティ質量分析によるストリゴラクトンの高感度分析方法の開発も同時に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は新規非典型的SLの構造解析および植物界、ないし植物体内の分布調査を進めている。本年度は陸上植物の基部に位置するとされるコケ植物から非典型的SLの単離を成功し、典型的SLは非典型的SLから進化の過程で生じたことを示唆した。また、重要なイネ科植物から数種類の非典型的SLの存在を示し、イネ科植物に共通に存在するSLを明らかにした。さらに、イオンモビリティMSを用いるSLの分析方法を開発し、0.1㎎の植物試料でSLの分析を可能にした。
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Strategy for Future Research Activity |
コケ植物から単離した非典型的SLの構造解析を進めていく。同時に本新規非典型的SLにおける植物界の分布および典型的SLとの天然物化学的な意義を明らかにしたい。また、イネ科植物に共通する非典型的SLの構造解析を進める。さらに、イオンモビリティMSを用いて、SLにおける植物体の分布調査を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度3月に参加予定の学会が中止になったため、旅費の差額が生じた。2020年度の学会参加費および研究打ち合わせに使用予定。
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Research Products
(9 results)