2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K05469
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鵜沢 浩隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 上級主任研究員 (60356566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平塚 淳典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (70392652)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖脂質 / ケモエンザイム合成 / 相互作用解析 / 検知チップ / 固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Clostridium botulinumの生産する蛋白性神経毒素(以下、BTXとする)と各種糖脂質との相互作用を検証するために、昨年度に続き、人工糖脂質リガンドの合成について検討した。開発したケモエンザイム法を用いて、天然ガングリオシドであるGT1a(7糖)、GD1b(6糖)、GD3(4糖)に、Sphingolipid ceramide N-deacylaseを作用させ、2本鎖セラミドのアミド結合について選択的加水分解を行い、アミノ基遊離のlyso体(lysoGT1a、lysoGD1b、lysoGD3)をそれぞれ合成した。次に、lysoGT1a、lysoGD1bについて、DMF中、NHS活性化リポ酸と反応させ、ジスルフィド結合を有するアンカーを導入し、GT1a-TOA及びGD1b-TOAを得た(TOA:リポ酸)。又、糖脂質Gal-Cer(1糖)を塩基性条件下で加水分解を行い、lysoGalを合成した。続いてNHS活性化リポ酸と反応させ、目的のGal-TOAを得た。現在までに、GT1b-TOA、GT1a-TOA、GD1b-TOA、GM1-TOA、Gb3-TOA、Lac-TOA、Gal-TOA、Glc-TOAについて合成が完了した。 次に、GT1b-TOA及びLac-TOAを金電極に固定化し、水晶振動子マイクロバランス法による毒素実剤BTX/E及び擬剤RCA120の検出を試みた。レファレンス電極に2種類のリガンド(MTPEG4 vs HOEG6C11SH)を用い、どちらが検出に適しているか検討した。GT1b-TOAチップを用い、単一分子量(300kDa)のBTX/Eの検出時における周波数変化を比較したところ、暫定的であるが、HOEG6C11SHが1.4倍ほど大きな変化量を示した。Lac-TOAチップでは、RCA120に対する2つのレファレンスリガンドに大きな差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年12月~2020年2月まで、実験室のアスベスト除去工事および上下水道改修工事が実施されたため、工事期間中、実験が中断した。又、2020年1月に流行した新型コロナウイルスの影響により、実験に必要なマスクの入手ができない事態となった。そのため、毒素を用いた研究に遅れが出ている。又、本研究で合成した糖脂質の金表面への固定化とチップ開発を検討したが、チップ固定化用糖脂質リガンドが不足したため、一部の糖脂質を除いて、チップ開発が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
チップ開発に使用し切った糖脂質を補充し、金表面への固定化を行う。作製した糖脂質固定化チップを用いて、毒素/擬剤との相互作用解析を行う。
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Causes of Carryover |
数か月にわたる実験室工事(アスベスト除去工事および上下水道改修工事)の影響で実験ができない状態が続き、毒素を用いた実験に遅れが出ており、又、チップ固定化に必要な糖脂質を使い切ったためチップ開発が遅れており、助成金を翌年度に持ち越した。次年度は、不足した糖脂質リガンドの合成を早急に行い、チップ開発を引き続き実施し、その後、毒素を用いた相互作用解析を実施する。これらの実験に必要な糖脂質合成の試薬、精製の溶媒、金チップ(電極)等の消耗品を購入する。
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