2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K05490
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西山 和夫 宮崎大学, 農学部, 准教授 (40164610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90295197)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レドックス / ニトロオレイン酸 / がん細胞選択的増殖抑制作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
イソチオシアネートなどの親電子性物質は、タンパク質チオール基との反応を介して抗炎症作用や抗がん作用を示すことが報告されており、これまで種々の親電子性物質が、がん細胞の増殖を抑制することを明らかにしてきた。また、親電子性物質の一種であるニトロオレイン酸については、がん細胞増殖抑制作用を示すことを明らかにしたが、がん細胞選択的な増殖抑制作用については検討できていなかった。そこで、ニトロオレイン酸のがん細胞選択的な増殖抑制作用とそのメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。オレイン酸から9-ニトロオレイン酸と10-ニトロオレイン酸の混合物を合成し、薄層クロマトグラフィーとカラムクロマトグラフィーによる分離精製を行った。細胞はヒト膀胱がん由来のT-24細胞と正常ヒト尿管上皮由来のSV-HUC-1細胞を用い、細胞増殖への影響を比較した。1~50μMのニトロオレイン酸で細胞を24時間処理した後、トリパンブルー色素排除法にて細胞数をカウントした。また、0、10μMのニトロオレイン酸で細胞を6時間処理後、細胞内グルタチオン量を測定した。ニトロオレイン酸は5μMと10μMでT-24細胞の相対生細胞率をそれぞれ68%と40%に低下させた。一方、SV-HUC-1細胞ではそれぞれ91%、86%であった。また、ニトロオレイン酸未処理の細胞の細胞内グルタチオン量はSV-HUC-1細胞よりT-24細胞の方が低く、さらにニトロオレイン酸 10μM処理によりT-24細胞において大きく低下した。以上の結果、がん細胞では細胞内グルタチオン量が正常細胞よりも低く、ニトロオレイン酸処理によってグルタチオンの低下による増殖抑制作用を受けやすいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでスムーズにできていたニトロオレイン酸の合成と分離精製に時間を要し、さらに昨年度購入した培養細胞の状態が悪く、細胞実験の開始が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
T-24細胞とSV-HUC-1細胞を用いてニトロオレイン酸によるがん細胞選択的増殖抑制作用のメカニズムをさらに詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
ニトロオレイン酸の合成と精製に予想以上の時間がかかった。また、培養細胞の状態が悪かったために細胞実験の開始が遅れた。繰り越した金額は試薬、細胞培養用培地、細胞培養器具等に使用する。
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