2019 Fiscal Year Research-status Report
ヌクレオソーム動的制御における内部塩基配列の役割の解明
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18K05556
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 太陽 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (40548418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヌクレオソーム / DNA / ソフトウェア |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、ヌクレオソーム動的制御における内部塩基配列の役割解明を目的として、ヌクレオソーム配置予測手法の開発および技術検証を行った。前年度から開発を継続しているソフトウェアnuCposと既存ソフトウェアNuPoP(MNase-seqに基づいてnuCposと同様の計算を行う)の予測結果を詳細に比較した結果、NuPoPが内部で計算するHBA(ヌクレオソーム形成への適性を測るスコア)は単純にAT含量を反映するに過ぎないことが明らかになった。MNaseはATを好む酵素であり固定長のDNA断片を生じることができないので、それゆえにヌクレオソームマップの解像度が低いことが主な原因と考えられる。一方、nuCposのHBAはAT含量に左右されない上、細胞内の回転設定をうまく予測し、並進配置も程度予測できることが明らかになった。さらに、酵母の細胞内でヌクレオソーム配置変化を引き起こすDNA配列に注目してnuCpos独自の部分配列適正評価を行うと、多くのケースで細胞内の挙動を説明できる結果を得た。研究計画3に関連して、マウスにおける予測精度が酵母に比べて低いことに着目した検討により、ケミカルマップの正確性の低さが予測精度の低さと関連することが示唆された。これらの知見についてはプレプリントサーバで公開している(doi: https://doi.org/10.1101/2019.12.25.888305)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間並行実施を予定していた研究計画1、2、3のうち、研究計画2は一応完了した。しかし、H4-S47C依存的なケミカルマッピングの技術的な課題が見えてきており、ヌクレオソームDNAの全長にわたって部分配列の適性を公平に評価することは現時点でできないかもしれない。研究計画3については、ソフトウェア開発のレベルでは完了しているが、令和元年度の調査によって、マウスの予測精度が当初期待したほど高くなく、その原因はケミカルマップの品質に起因することが示唆されている。酵母のモデルが試験管内の情報をよく説明しているので、現時点では酵母での検討を優先すべきと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画1についてはTリッチ配列以外の部分配列がヌクレオソーム動的制御に貢献する可能性が別研究から浮上しているので、そういった視点でゲノムワイドにヌクレオソームを調査し、ヌクレオソームの動的制御における内部塩基配列の役割を解明したい。また、得られる知見を反映させるかたちでソフトウェアの開発を継続したい。研究計画3については酵母での検討を優先して進める。
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Research Products
(8 results)