2020 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム改良非依存の耐湿性ダイズ種子の生産:種子の登熟環境と耐湿性
Project/Area Number |
18K05591
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中嶋 孝幸 東北大学, 農学研究科, 助教 (80241553)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 聡 宮城大学, 食産業学群, 教授 (00289729)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ダイズ / 耐湿性種子 / 登熟環境 / 生産 / 栽培 / 着莢位置 / 一粒重 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイズ収量の増加・安定のために,種子耐湿性向上による湿害軽減は重要である.本課題では,ゲノム改良の手段を用いずに耐湿性種子を生産することを目指し,圃場内や個体内の着粒位置や粒重などと種子耐湿性との関係を明らかにすることを目的とした. 本年度は,昨年度のサンプルについて種子耐湿性試験を引き続き行った.また,栽培試験として,播種期と栽植密度の異なる試験区と剪葉処理区を設けた.全ての区について,子実肥大始期に個体間引き処理を行った区も加えた. 昨年度のサンプルについては,種子耐湿性試験が終了し,現在解析中である.解析結果の一部として,以下のことがわかった.圃場周辺の個体では,周辺効果により種子耐湿性も高まる可能性があること,個体上部の種子耐湿性が高い可能性があること,ただし,1粒重が増加しすぎると種子耐湿性が低下してしまうことがわかった.さらに,子実肥大始期の畝間引き処理により,粒数の増加にともない1粒重が減少することで種子耐湿性が高まる可能性があること,収量に変化が出ない程度に隣接個体剪葉処理を行うと,1粒重の変化がほとんどないものの種子耐湿性が高まる可能性があることがわかった.粒重の減少により種子耐湿性が高まった処理区と粒重に関係なく種子耐湿性が高まった処理区があったことから,種子耐湿性の向上には粒重を介するメカニズムと介さないメカニズムの2つのメカニズムがある可能性が示唆された.これらの結果については2021年春の第251回日本作物学会講演会で公表した.今年度の試験区のサンプルについては,まだ種子耐湿性試験の途中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度サンプルの解析結果から,圃場内や個体内で耐湿性種子の分布に偏りが見られ,子実の登熟期の環境条件と種子耐湿性に関係のある可能性が示唆された.本年度のサンプルは種子耐湿性試験と解析を次年度にも行う必要があるが,サンプルが多量のためこれは予定通りであり,おおむね順調に進展していると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
子実の登熟環境と種子耐湿性に関係があることがわかってきた.ただし,圃場試験のため,年次変動など確認する必要がある.そこで特に興味深い結果が得られたところの反復試験を行っていきたい.コロナウィルスによる制限も起きる可能性を考慮しつつ,できる限りデータを集め解析していく予定である.
|
Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響により,学会の講演会がオンラインとなったことによるプラスと実験や作業への謝金が増えたマイナスの結果,残金が生じた.次年度もコロナウィルスの影響により謝金が増えることを予想し,次年度使用額とした.
|
Research Products
(2 results)