2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis for tracheid-like cells develop in floral leaves
Project/Area Number |
18K05615
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
北村 嘉邦 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90578139)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 花葉 / アジサイ / 通道組織 / 水分生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
・仮導管様組織の発達による水分生理の変化を解析する実験系の再構築 従来、in vitroかつ暗黒環境下で小花を管理することで仮導管様組織の発達を待ち、発達前後の水分生理の違いを解析していた。この系では、仮導管様細胞が発達する際に形成される二次細胞壁の構築に必要となる糖類を、小花に安定して供給することを目的としていた。しかし、微生物汚染や小花の枯死が頻発し、解析に適した小花を得るには非効率的であった。そこで、切り花を暗黒条件で維持し、より効率的に解析に適した小花を得る実験系を確立した。具体的には、糖類と抗菌剤の両方を含む切り花鮮度保持剤を用いて切り花を管理し、暗黒環境下で維持するものである。この系の確立によって、従来法と比較して解析に用いることができる小花を得る効率を飛躍的に向上することができた。 ・人工環境下で仮導管様組織を発達させた小花を用いた水分生理の変化の解析 前述の系を用いて、仮導管様組織の発達前後での装飾的萼片での水分生理の変化を解析した。その結果、仮導管様組織の発達前と比較して発達後では、装飾的萼片への水の吸い上げが迅速に行われることを認めた。従来法でも同様の結果は得られていたが、実験結果の再現性が大幅に改善された。 本年度確立した実験系は、仮導管様組織が持つ水分生理特性の解析のみならず、今後予定している分子生物学的解析に用いるサンプルを取得する系としても有効に機能する。特に、従来法では、仮導管様組織の発達が起こらないサンプルが高い頻度で出現していた一方で、本年度確立した系ではほぼ確実に仮導管様組織の発達が起こることから、サンプル取得の確実性を確保したことは重要である。以上の結果は、園芸学会令和2年度春季大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度実施した新たな実験系の開発は、今後の本研究課題の安定的な遂行の上で不可欠であった。一方で、当初予定していた仮導管様組織の分化メカニズムの解析は未だ進んでいない。本年度確立した実験系によってサンプルの安定的な取得が可能になったため、急ぎ進めることとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
仮導管様組織の分化メカニズムの解析について、本年度確立した実験系によってサンプルの安定的な取得が可能になったため、急ぎ進めることとしたい。
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