2019 Fiscal Year Research-status Report
白川郷五箇山における屋根を下ろした合掌造り家屋と念仏道場に着目した文化資源の継承
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18K05702
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 乃生 筑波大学, 芸術系, 教授 (40375457)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 合掌造り家屋 / 念仏道場 / 浄土真宗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は白川郷および五箇山において世界遺産登録されなかった集落の現状と変化を明らかにするために二つの視点を設定した。世界遺産に登録された合掌造りは文化財として保護の対象となっているが、軸組を残してトタンなどで葺き替えた家屋については、まだ多数存在するものの残存状況は不明である。また、白川郷と五箇山には浄土真宗寺院の初期の形態を表す念仏道場が残されている。本研究はこれらの合掌造りの屋根を下ろした家屋および念仏道場、寺の位置を明らかにし、白川郷、五箇山地域において生活と深い関わりがあり現在まで継承されている建物や関連する土地利用を文化資源として位置づけることを目的としている。 2019年度は屋根を下ろした合掌造り家屋の調査は五箇山を対象に行なった。前年度の白川村同様、外観から特定することが困難だったため、残存が確認できた楮集落において聞き取り調査および外観調査を実施した。これによると、楮では18棟中8棟が該当した。白川村に比べて数が多いことが明らかになった。また、そのうち1棟は合掌造り家屋が建設されたのも比較的新しく、「ハイカラづくり」と呼ばれる2階建のものだった。 白川村における念仏道場に関する調査を行なった。『飛州志』(延享2年)には現在の白川村のエリアに15世紀終わりから17世紀にかけて成立した道場が10箇所、寺が2箇所あったことが記されている。これらの道場は17世紀から18世紀に次々に寺号を取得し寺になった。ダム建設で2寺離村で2寺が移転または廃寺となり、現在は8箇所(うち無住1箇所)の寺がある。五箇山では多くの道場が残っているが白川村には現在道場はなくなったことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年に続き、屋根を下ろした合掌造り家屋が外観から特定できないため、当初予定していた地域全体ではなく対象集落を絞って聞き取り調査を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は屋根を下ろした合掌造り家屋について、五箇山の楮集落で実測調査と聞き取り調査を継続する予定である。また、白川村に関しても、残存家屋が多い島などを対象に詳細な調査を実施する。念仏道場については資料調査は終了し、聞き取りによる調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
3月に予定していた調査がコロナウィルス感染症拡大の影響で実施できなかった。現地への移動が可能な状況になり次第、調査を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)