2020 Fiscal Year Research-status Report
白川郷五箇山における屋根を下ろした合掌造り家屋と念仏道場に着目した文化資源の継承
Project/Area Number |
18K05702
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒田 乃生 筑波大学, 芸術系, 教授 (40375457)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 戸数 / 寺院 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナウィルス感染症拡大のため、現地調査ができなかった。予定していた寺院関係者や合掌造りの所有者は高齢の方が多く、インタビュー調査もすることができなかった。このため、研究の進捗が少なく2021年度に繰り越した。 2020年度は資料調査を継続し、白川郷の各集落における戸数から、合掌造り家屋の個数の推定を行った。延享3年(1746)時点で230戸、明治40年(1907)では白川村全体の戸数は320まで増加し最大であり、おそらく300棟近くあったと考えられる。 念仏道場については、17世紀から現在までの白川村における各集落の人口、戸数、寺院の変遷を比較した。中切(9集落うち1集落枝村)、五ケ村(5集落)、大郷(6集落うち1集落枝村)、山家(6集落)に分けて集計した。戸数は大郷と中切の増加が見られ、北部の山家とダムに多くが沈んだ五ケ村には大きな変化はなかった。人口はいずれも1960年をピークに減少した。一戸あたりの家族数は大家族があった中切地区のみ1900年までが20名と突出しており、そのほかは1850年代に7名から10名だったものが、現在は最も多い大郷で3名、保木脇のみが残った五ケ村は0.9名と減少した。このような社会状況と道場(寺院)の現状を比較すると 、現在住職がいる寺院4件は大郷に集中している。また、開基当初から寺院であったと伝わる長瀬(稗田)、荻町(本覚寺)、鳩谷、椿原については一昨年無住となった椿原を除くと現在も続いている。白川村の念仏道場が五箇山に比べて道場というかたちで残っていないのは、17世紀から18世紀中頃にかけて次々に寺号を得たためでなぜこの時期に集中したのかに関して今後の調査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度はコロナウィルス感染症拡大のため、現地調査ができなかった。予定していた寺院関係者や合掌造りの所有者は高齢の方が多く、インタビュー調査もすることができなかった。このため、研究の進捗が少なく2021年度に繰り越した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査が困難な状況のため、引き続き資料調査を中心に道場の変遷を明らかにする。また、現地調査が可能になった場合は、五箇山の楮集落で実測調査と聞き取り調査を継続する予定である。また、白川村に関しても、残存家屋が多い島などを対象に詳細な調査を実施する。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナウィルス感染症拡大のため、現地調査ができなかった。予定していた寺院関係者や合掌造りの所有者は高齢の方が多く、インタビュー調査もすることができなかった。このため、研究の進捗が少なく2021年度に繰り越した。
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