2019 Fiscal Year Research-status Report
官・民・市民協働による街路樹の多面的な価値創出と管理の可能性
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18K05711
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
赤澤 宏樹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (30301807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加我 宏之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00326282)
川口 将武 大阪産業大学, デザイン工学部, 講師 (30298814)
福井 亘 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60399128)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 街路樹 / 維持管理計画 / 経済的評価 / i-Tree / 官・民・市民協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
“i-Tree”に実装されていない利用効果と媒体効果について,「街路樹の二段階剪定による景観創出に対する景観評価と経済的評価」(松本ら,2019)において,仮想評価法(CVM)によって試算した。その結果,街路樹の「快適性」「街路景観の形成」「季節性」といった項目が特に重要であり,利用効果に至る「快適性」も経済的に評価されていることが明らかとなった。一方で観光と言った媒体効果にまでは評価は認められず,更なる街路樹の質の向上や管理のあり方を検討する必要性が確認された。加えて,i-Treeに実装されている生態系サービス及び健康被害削減の貨幣価値について,既往文献から更に日本向けのカスタマイズを施し,査読付き論文として投稿中である。 海外における街路樹評価およびその維持管理計画への反映については,米国サンフランシスコ市および英国ロンドン市にて調査を行い,実態を把握した。成果は「米国サンフランシスコ市における街路樹の維持管理計画の特徴」(川口ら,2019),「米国サンフランシスコ市における「Sidewalk Landscaping」プログラムの特徴と景観デザインについて」(川口ら,2019)としてポスター発表した。加えて,国内の状況を把握するために人口10万人以上の自治体を対象にアンケート調査を実施し,成果を「地方自治体の街路樹に関する維持管理計画および住民参加制度の状況」(川口ら,2020)として発表した。国内では,海外と比較して街路樹の管理計画の策定が大幅に遅れており,制度や体制面でも官・民・市民協働を推進する上での課題が多いことが把握された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のとおり,街路樹の経済的評価については1本の査読付き論文を発表し,1本投稿中まで至っている。その内容についても,計画していたCVMでの経済評価に加えて,海外研究者との共同研究によりi-Treeの機能をローカライズした研究も進んでいる。 海外における街路樹評価およびその維持管理計画への反映については,2カ国で現地踏査及びヒアリング調査を行い,ポスター発表ではあるが一定の成果をまとめることができた。加えて,研究計画にはなかった国内の街路樹維持管理に関する調査も実施し,査読付き論文として発表することができた。 以上の理由から,R元年度の本研究は「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度に計画している「官・民・市民の協働から街路樹の多面的な価値に至る因果関係の把握」については,一部H30年度に先行調査を実施し,「沿道住民の街路樹の維持管理への参加意欲に影響する要因の構造」(川口ら,2018)として発表している。R2年度は,これを補完する形で協働管理を進めている自治体へのヒアリング調査を実施し,多面的な価値の形成に至る具体的なプログラムについて考察する。具体的には,京都市,芦屋市,姫路市,吹田市の協働管理プログラムを調査委対象として想定している。 上記の年度調査及び研究機関内の成果をとりまとめて,官・民・市民協働による街路樹の多面的な価値創出と管理の可能性について総合的に考察する。
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Causes of Carryover |
自治体へのヒアリング事前調査が,新型コロナウィルス対策のため実施できず,R2年度の本調査にまわすこととなった。 R2年度の使用計画としては,新型コロナウィルス対策を講じつつ,自治体へのヒアリング調査の充実,および成果の公表に助成金を活用する。
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