2021 Fiscal Year Research-status Report
漁獲情報統合システムによる持続可能な操業モデルの社会実装に向けた実証研究
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18K05788
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
江幡 恵吾 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (10325772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 享司 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (70399103)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小規模漁業 / 操業モニタリング / 季節変動 / 水産物流通 / 漁業経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
東南アジアをはじめとする熱帯・亜熱帯地域に広がる小規模漁業は、沿岸地域社会で重要な機能を果たし、食料生産業や直接・間接雇用を創出する役割を担っているが、使用される小型漁船は機動性が強く制約されているため、水産資源の利用は密集していて、沿岸に近い特定の海域に過剰な漁獲圧がかかり、乱獲を助長しているという問題が挙げられる。 本研究では熱帯・亜熱帯地域において、海洋環境や水産資源に過度な負荷を与えない小規模漁業の各漁業種の操業実態に即した経済的に合理的で最適な操業モデルを提示することを目的として、日本国内およびタイ国の沿岸漁業を調査対象として、熱帯・亜熱帯域における小規模漁業の操業に関するモニタリング手法の確立、各漁業種による漁獲海域、漁獲物、燃油消費量の季節変動の解明、漁獲物の季節変動が水産物流通、漁業経営に与える影響のモニタリング評価について取り組んだ。 鹿児島県小型底曳網漁業およびタイ国ペッチャブリー沿岸カニ刺網、魚かご漁業の小規模漁業を対象として収集したデータから操業海域および漁獲量の季節変動を明らかにした。鹿児島県小型底曳網漁業では、漁獲種数および組成、操業時間帯(昼間・夜間)、操業海域(沿岸、湾中央部、湾口)が漁獲量に及ぼす影響を明らかにし、タイ国のカニ刺網では、モンスーン気候による風向風速の変化が出漁日数に及ぼす影響、月齢と漁獲量の関係を示すことができた。これらの分析結果を取りまとめて現在、本研究の主目的である小規模漁業における最適な操業モデルについて考察をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大により、進捗状況が遅れていたタイ国沿岸漁業での調査については、研究協力者であるタイ・カセサート大学の研究者の協力を得て当初予定していたデータのほとんどを収集することができ、オンラインによる会議を重ねることで分析を進めることができた。最終的なモデル構築や論文作成は残ってしまったが、これらについては令和4年度まで期間延長させて完了させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
分析したデータをもとに小規模漁業における最適な操業モデルを構築させて、その内容を日本水産学会、日本水産工学会での口頭発表および論文公表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、令和3年度に計画していた学会発表がオンライン開催になったため、この分の旅費を次年度に繰り越すことにした。 繰越金は研究成果を公表する国内学会の旅費および論文掲載料に充てたいと考えている。
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