2023 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity of oceanic zooplankton in the subtropical Pacific
Project/Area Number |
18K05804
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
喜多村 稔 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 副主任研究員 (00392952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動物プランクトン / 亜熱帯海域 / 多様性 / 浮遊性刺胞類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究期間中の調査航海で採集した標本およびアーカイブ標本の検鏡解析から、西部北太平洋亜熱帯域における動物プランクトンの種多様性を明らかにした。2023年度は主として相模湾産アーカイブ標本の解析を行った。 調査航海は2021~2022年冬期に行った。これまで、西部北太平洋ではニューストン性動物プランクトンに関する知見が極めて少ないため、これらを主対象とした。調査海域には低気圧性中規模渦が存在し、渦内の測点ではカイアシ類の個体数密度が特異的に低かった。黒潮続流に接する海域では十脚類幼生、北緯32度付近ではLucifer sp.の密度が高かった。 アーカイブ標本の解析からは、相模湾沖合域の表層における浮遊性刺胞類群集の種多様性と季節的消長、時系列観測点S1(30N, 145E)における浮遊性刺胞類の種多様性と鉛直分布を明らかにした。相模湾沖合域の周年採集からは計42種が得られ、このうち33種は終生浮遊種、9種が一次性浮遊種だった。出現種数は管クラゲ類が26種で最も高く、その中でもLensia属が10種で最多だった。江ノ島でなされた既往報告と比べて、相模湾沖合域では花クラゲ類など一次性浮遊種の種多様性が極めて低い。沖合域に出現する一次性浮遊種の多くは浮遊期に分裂や娘クラゲ放出を行う種であり、浮遊期の無性的な個体群増加が沖合域への進出を可能にしていると示唆された。一方、測点S1における夏季の深度別採集からは、計54種の浮遊性刺胞類が得られた。このうち管クラゲ類が47種と最多で、Lensia属(17種)の種数が最も多い。鉛直的には0~50m層にて23種が得られ、最も種多様性が高い。季節(夏)および採集深度(0~150m)を揃えて相模湾とS1を比較すると、後者で出現種数が多かった。S1では一次性浮遊種は採集されず、胞泳亜目管クラゲ類が種多様性を高めていた。
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