2019 Fiscal Year Research-status Report
GAP導入経営体・産地の段階的発展における課題と市場成立要件
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18K05841
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宮崎 さと子 (窪田さと子) 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90571117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 洋一 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (80708404)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | JGAP家畜・畜産物 / 経営改善効果 / 農場HACCP / 認証制度の運用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の団体認証における課題抽出の結果を受け,本年度は個別認証のGAP取得農家を中心とした課題の抽出を行った。また,GAP認証制度の歴史的背景や特に海外市場における立ち位置等について各機関に聞き取り調査を実施している。 JGAP家畜・畜産物認証農場を対象としたアンケート調査を実施した結果,半数以上の農場が東京オリパラ大会を認証取得目的にしているという現状と,従業員管理に対する経営改善効果が大きいことが示され,青果物・穀物分野における既往研究と同様の結果が得られた。 さらに,審査料金と審査内容が認証更新意向を阻害する要因であることが示唆された。審査料金に関しては,二つの原因が考えられる。一つに,審査の質に適した料金設定がなされていないこと,二つに,JGAP家畜・畜産物と農場HACCPのように,複数の認証が存在していることである。また,審査内容では以下の点が指摘された。1点目は,審査員のレベルにばらつきがあり,審査員によって指摘項目が異なる等の問題が発生していることである。2点目は,基準書の項目について,特に「責任者及び教育訓練」と「アニマルウェルフェア」に対して解釈が困難であることや基準が生産現状に合っていないと受け止められていることである。3点目はJGAPと農場HACCPの関係性についてである。JGAP家畜・畜産物認証農場の大半が農場HACCP認証も取得しているのが現状であるが,JGAPと農場HACCPの運営主体が異なるため煩雑になり,将来的にJGAP家畜・畜産物と農場HACCPの統合の検討が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研修会や視察への参加,基準書の比較整理を通してGAPの位置づけについて考察を深化させることができた。また,経営評価に関しては昨年度の成果も踏まえ,団体認証と個別認証という二側面から議論する準備が整っている。一方で,各機関への聞き取り調査から,現状求められる認証が各国で異なること,日本発GAPへの認知が未だ低いことから,日本初GAPの輸出戦略としての機能を議論するまでに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)国際水準GAP認証への流通段階における評価(窪田):輸出戦略としてのGAPの位置づけを明確にすることを目的に,国際水準GAP認証に対する貿易相手国の認識を明らかにする。 2)国際水準GAP移行経営体における経営評価(河野):引き続き,国際水準GAPへ移行した事例を調査し,個別経営体における経営変化および変化への対応を整理する。
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Causes of Carryover |
前述した通り,基礎調査の結果から一部の調査について再考する必要があった。特に,「JGAPおよびASIAGAPのそれぞれの認証に対する評価の違い」という視点では,当該GAPの認知度が低い現状では議論が難しいことが明らかとなった。 市場成立条件の整理には流通業者の重点的な調査が必要と考え,国際水準GAP認証に対する「流通業者の認識の国際間比較」に調査対象を拡大し,本年度の研究費と併せて使用する。
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