2019 Fiscal Year Research-status Report
Resilience Assessment of Food System in a Major Disaster and it's Improvements
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18K05850
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
森田 明 宮城大学, 食産業学群(部), 教授 (70292795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 宗徳 宮城大学, 食産業学群(部), 准教授 (50553864)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 災害時の食 / レジリエンス / 外食産業 / 消費者 / 食料不足 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)外食企業及び関連企業5社に対して大規模災害時の危機対応についてヒアリングを実施した。ヒアリングの内容としては,①危機対応マニュアルの作成状況,②災害に関わる自治体との提携の状況,③大規模災害時に今後予想される対応などで,都内の企業を中心にヒアリングを行った。①については,危機管理対応者や危機管理委員会の設置により危機対応マニュアルを作成しているところが5社中2社あった。②については,災害に関わる自治体との提携,今回ヒアリングした企業すべてで行っていなかった。③については,対規模災害が発生した場合には、従業員の安否確認、店舗状況の把握(電気、ガス、水道等のインフラの確保)などの安全を確保し,その後に業界団体や関係機関と連携をとって炊き出し等の実施を行いたいと考える企業があった。また,食材仕入の多角的な仕入の実施や縦割りの会社組織の改編、物流が止まる可能性を考え物流センターやセントラルキッチンの増設などを考えている企業があった。 (2)自然災害の常襲地域への調査及び東京都へのヒアリングについては延期した。2019年度の自治体への調査は,仙台市についてのみ実施した。仙台市の防災担当部局は,東日本大震災を契機に消防局から危機管理室危機管理課になった。ヒアリング内容としては,災害時の食を聞いた。仙台市としての備蓄基準は,それまでの利府-長町断層型地震の想定から東日本大震災規模に変更され,最大避難者数約10万6千人の2日分(6食)に変更し、約60万食から約70万食に増したという。また備蓄食料の内容も,東日本大震災の教訓を踏まえ,それまでの主食中心の備蓄から,ようかんやアレルギー対応食品など想定すべき多様な状況に応じたモノとしているという。 (3)食料不足時における理論モデルの構築については,数式モデルの作成を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度には,災害の常襲地域へ大がかりな調査を行う予定であった。名古屋などの中部地域,それに三重県の豪雨地域に対しての調査の実施を計画していた。特に,住民へのアンケートを実施するために尾鷲市などへのアクセスを図っていた。また,東京都への調査も合わせて行う予定であり,8月末から9月前半を目処に計画をしていたところである。 しかしながら,調査を計画していた8月末から9月については,風水害や台風のため,打診していた常襲地域からの応答や,また,こちらから配慮することもあり,調査を控えざるをえなくなってしまった。東京都に対しては,2月に東京都に訪問するための計画をたてていたが,1月半ばより新型コロナウイルス感染症の東京都での流行がはじまり,2月からの訪問計画を延期することにした。 現地の食の事情についての調査は,現地の自治体等の協力があって成り立つものであり,災害時に災害担当に対して平時の調査を行うことは,避ける必要があるためやむを得ない措置だったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2020年度においては,延期になった災害常襲地域の住民への調査計画について,再チャレンジする予定である。しかしながら,現在の新型コロナウイルス感染症の流行の状況においては,都道府県境を超えての移動に対して,自粛もしくは慎重に行うべきとする指示の元(実際に緊急事態宣言ではそうだった。)では,現地調査を再度断念せざるをえない可能性もある。その場合には,現地調査に変わる形で,たとえばアンケート調査や電話等での応答での調査に代替する必要があると考えている。 調査についての懸念は,2020年1月来の新型コロナウイルス感染症の流行による消費者と,それから今回の調査の大きな目的の一つである外食産業,中食産業と言った家庭外での企業的な食提供者の構造の変化である。とくに外食産業の現在は,ヒアリング調査の難しい状況にあり,平時の話を聞く状況にない。 こうした状況を検討し,現在の新型コロナウイルス感染症の流行についても災害の一種として考え,それと食の状況についての考察も対象とすることを検討しているところである。 また,食料不足時における理論モデルの構築については,ある程度まとまっており,早急に検証することにして論文としてまとめたい。
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Causes of Carryover |
2019年度は,メインとして行うべき長期間の災害常襲地域の住民への調査計画などが延期となり,それに付帯して計画していたアンケート調査,及び資料購入や消耗品なども実施できなかった。このため,旅費をはじめ,物品費,謝金やアルバイト労賃などについて残余が大幅に生じることになった。調査ができなかった理由は,2019年度には,自然災害常襲地域に実際に大規模な自然災害が発生したため,調査依頼を断念したことによる。 このことについては,2020年度に当初の計画通り8月末から9月にかけて実施することを計画しており資金用途を設定している。しかしながら,自然災害常襲地域なので再び起こる可能性もあり,また,現地調査のためには,大幅な移動を行っての調査となる。現在流行中の新型コロナが再流行することになると難しいことも考えられる。このことから,現在別の調査方法によって代替できないかということも含めて検討中である。
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