2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of electrical and non-destructive measuring method of productivity of photosynthate in plant leaves
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18K05896
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
庄野 浩資 岩手大学, 農学部, 准教授 (90235721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インピーダンス特性 / 光合成産物 / 光合成活性 / 含水率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,コマツナ葉を植物材料として光合成産物の蓄積状況とインピーダンス特性(以下,同特性)との関係性を検討した。当初は予備実験の結果や主な光合成産物であるデンプンが電気的不導体である事実などから,デンプンの蓄積に伴って同特性が増大する傾向が有意に観察されると予想し,また実際の測定結果においても全体的な増加傾向が観察された。しかし,測定データには同特性が逆に減少する例など大きくばらつく傾向があり,これが光合成産物の蓄積状況と同特性間の関係性を不明瞭とする可能性が考えられた。このため本年度は主な重点課題として,この測定データのばらつきがなぜ発生するのか,その原因の究明を図った。 最初に測定装置の不備等の機械的な問題が存在しないことを確認した後,まず,植物材料としたコマツナ葉自体に元々存在する同特性のばらつきの状況と,その原因を検討した。ばらつきをもたらす要因の候補として挙げた項目は,測定箇所の局所的多様性として電極位置(葉の先端から基部まで段階的に変更,さらに葉脈との距離を微妙に変更)・光合成活性(Fv/Fm)・厚み・SPAD値(葉緑素濃度指標),さらに葉全体の多様性として成熟度(各株における葉の発生順序)・含水率とした。 葉の先端から基部までの電極位置の違いによる同特性のばらつきはほとんど観察できなかった一方,葉脈との距離を微妙に変えるだけで同特性は大きく変動した。また,光合成活性・厚み・SPAD値は同特性のばらつきとほとんど無関係であったが,「含水率」の影響は顕著に観察された。 以上の結果は,含水率が高い葉脈との距離が微妙に異なるだけで電極位置の含水率も微妙に変化し,それが同特性に大きなばらつきをもたらす可能性だけでなく,ひいては光合成産物の蓄積により葉全体の乾物率が上昇した結果,逆に含水率が減少し,それが同特性の増大として観察される可能性を示唆する重要な知見である。
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