2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Integrated Agricultural Auxiliary System Based on the Nano-Mist Sprayer
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18K05908
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
淡野 公一 宮崎大学, 工学部, 教授 (50260740)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 噴霧器 / 薬剤散布 / 農薬 / 自動化 / ナノオーダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の実績としては,以下の3点である。 (1)ナノミスト噴霧器による液剤散布実験のための噴霧器の一部改良 (2)ビニールハウス内の環境を自動測定するための環境センサーの構築 (3)薬剤噴霧の比較実験のための専用のビニールハウスの造設 (1)に関しては,ビニールハウス内で噴霧実験を行う際には,電源供給が問題となる。そこで,バッテリで駆動できるように電源周りの改良を行うとともに,その変更に応じた噴霧器の微調整を行った。(2)に関しては,実験を行う際のビニールハウス内の温度,湿度,二酸化炭素濃度を自動的に測定するためのセンサーを構築した。ビニールハウスの温度,湿度,二酸化炭素濃度は高さによって異なり,液剤噴霧の特性に影響を与えると考えられることから,異なる高さ3点における測定を常時自動的に行い,そのデータをインターネット上のサーバに蓄積し,どこからでもそのデータを確認できるシステムを構築した。(3)に関しては,本研究における噴霧実験を,適切な時期に実施できるように,本研究専用のビニールハウス2棟を造設した。 以上の環境を用いて,噴霧実験を行うための予備実験に取り組み,問題無く測定できることを確認できた。ただし,本年度は,【現在までの進捗状況】に記載した理由から,噴霧実験を行うための環境を構築にとどまってしまったが,今後は,この環境を用いることで,様々な実験に取り組むことができる。また,以上から,本年度は,論文誌や学会における発表には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は,以下の理由から遅れている。 (1)本研究の噴霧器の試作,製造を担っていた研究協力者が他界されたため,噴霧器の改良ができなくなったため。 (2)ビニールハウスをご提供くださり,さらに,本噴霧実験に協力いただいていた研究協力者が退職されたため,実験そのものができなくなったため。 (3)新型コロナウィルスの関係で,研究協力者として雇用予定であった研究室学生の協力を得ることができなかったため。 (1)のとおり,ナノミスト噴霧器の試作のノウハウを持っていた研究協力者が病気により他界されたため,シリンダ部に改良や調整が事実上不可能となり,多種多様な実験に取り組むことができなくなった。現在は,研究協力者の奥様とご子息が後を継ぎ,本件研究にもご協力いただいている。(2)に関しては,ビニールハウスをご提供くださり,実験そのものにも積極的にご協力いただいていた研究協力者がご退職され,それゆえ,ビニールハウスの環境維持および実験そのものを継続することができなくなった。現在は,ビニールハウスを宮崎大学内に造設し,環境整備および実験が可能な状態になっている。(3)に関しては,当大学における学生の登校制限によるものであり,現在は,研究に関する取り組みに関しては,3密を避け,十分な感染対策を行うことで,実施可能となっている。 以上から,2020年度は本研究を行うための環境整備にとどまったが,2021年度から実験が再開できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり,2020年度は実験そのものを行うことはできなかったが,様々な問題を克服し,実験実施のための環境を構築できた。そこで2021年度は,薬剤噴霧のための実験に取り組む。同時に,ビニールハウスを用いた噴霧の可視化実験と,薬剤噴霧のシミュレーションにも取り組み,効果的に実験を行う予定である。また,使用する薬剤の特徴と,その特徴に適した噴霧方法を明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
先の説明のとおり,噴霧器の製造を担っていた研究協力者の他界,ビニールハウス提供者,実験協力者の退職,新型コロナウィルスによる影響から,噴霧実験を実施することができなくなった。しかしながら,2020年度は,噴霧実験を継続的に実施するための実験環境の構築に取り組むことができた。そのため,2021年度は,この整備された実験環境を活用し,噴霧実験に取り組む。また,この実験を効率的に行うため,これまでの実験計画を一部変更し,ビニールハウスを用いた噴霧の様子の可視化実験と,薬剤噴霧のシミュレーションにも取り組む計画を立てている。これらの結果を活用し,使用する薬剤の特徴と,その特徴に適した噴霧方法を明らかにしたいと考えている。
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