2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Integrated Agricultural Auxiliary System Based on the Nano-Mist Sprayer
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18K05908
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
淡野 公一 宮崎大学, 工学部, 教授 (50260740)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 噴霧器 / 液剤散布 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,未だ新型コロナウィルスの影響により学外者を交えた実験を行うことが難しく,農作業を伴うビニールハウス内での噴霧実験は控え,ナノミスト噴霧器そのものの性能を確認する実験に取り組んだ。まず,アクリルケース内の各箇所にpH試験紙を貼り付け,その中に設置したナノミスト噴霧器により比較的強い酸性の液体を噴霧する実験を行った。その結果,僅かながらpH試験紙の色の変化を確認することができ,噴霧の液滴の広がりの様子を確認できた。最後に,噴霧器の上方部にボール状の器を噴霧口に対向させて設置し,この実験系全体をアクリルケースで覆い,食用オイルを噴霧する実験を行った。その結果,ボール内面には殆ど液滴が付着せず,その外周には多数の液滴が付着するという興味深い結果が得られた。これは,噴霧器から噴出される空気の流れに沿ってオイル液滴がボールの外へ排出され,その結果,ボール内面には付着しなかったものと考えられる。また,2022年に入って間もなく,本学の産学・地域連携センターの教員の協力を得て,除草剤の噴霧実験に取り組み,その効果についての確認を行った。その結果,除草効果はほとんど得られなかった。それは,除草剤が液槽の中でゲル状となり,さらに,噴霧口から多数の泡が吹き出るといった現象が見られ,正常な噴霧を実行できなかったことが原因である。この問題を克服すべく,噴霧器のポンプ圧を高め,さらに,噴霧器の構造の一部を改良した。その結果,先に述べたような問題はほぼ改善された。今後は,この改良した噴霧器を用いて実際の噴霧実験に取り組む必要がある。また今後は,先の説明の通り,提案している噴霧器は,噴霧する液剤の特性・性質(特に粘度)が噴霧結果に大きく影響し,その具体的な性能についての検討に取り組む必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験は大きく2つの要素から成り立っている。一つはナノミスト噴霧器を用いた実験である。これに関しては,実験を依頼していた担当者の異動により実験の継続が危ぶまれたが,学内にビニールハウスを二棟準備し,それにより学外の知見を有する協力者と実験に取り組んでいた。しかし,これも,新型コロナウィルスの影響により,学外者との実験実施が困難となり,継続が難しい状態となった。現在は,宮崎大学内での協力者(産学・地域連携センター教員)が見つかり,実験に取り組むことができる状態となった。今後はスムーズに実験を行うことができると考えられる。もう一つの要素に関しては,ナノミスト噴霧器の改良である。これは,噴霧実験に伴い,その結果に基づいた噴霧器そのものの改良を行うというものであるが,以前に示した通り,噴霧器の製造を担っていただいていた川崎氏が他界された影響は大きく,それによる遅延は否めない。川崎氏のご子息による協力を仰いでいるが十分な時間確保が困難であり,今後の対応について,検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度が本科研費の最終年度となっていたが,先の説明の通り,新型コロナウィルスの影響などにより研究が遅延したため,一年の延長を申請し,それが認めたれた。そこで,本年度は,以下のようなことに取り組む。 まず,トマトトーンの噴霧実験に取り組む。小さい空間から徐々に大きく空間での実験に取り組み,噴霧器の能力と噴霧空間との関係を明らかにする。また,従来手法である人手による霧吹きによる散布と,提案するナノミスト噴霧器による散布との比較を行い,効果についての評価を行う。さらに,噴霧器の改良については,噴霧器の中のパラメータにおいて改良・修正可能な箇所について,協力者と協議し,その改良による噴霧特性への影響について確認・および実験を繰り返す。また,これまでの取り組みに関する実験結果をまとめ,論文として提出する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により実験が実施できなかったことに加え,シリンダの試作をご担当いただいていた川崎氏の死亡により,シリンダの修正に伴う試作が不可能となったため,今年に持ち越しとなった。
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