2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding disease registance mechanism in sugar beet by deep data
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18K05915
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
臼井 靖浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 上級研究員 (20631485)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 系統間差 / 群落表面温度 / 蒸散速度 / 気孔コンダクタンス / 葉気温較差 / 親系統 / 交雑種(F1) |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、コロナ禍という状況もあり、これまで得られたデータの解析および論文執筆を中心に研究を実施した。解析に用いた供試材料は、テンサイ親系統として「NK195BR」、「NK235BR」「NK388」の3系統、交雑種(F1)として「NK235BR×NK195BR」「NK195BR×NK388」「NK235BR×NK388」の3系統、計6材料である。 系統により群落表面温度(Tc)が異なった。大気飽差(VPD)が大きい時間帯にTcの系統間差が大きくなり,その差は最大で約2.7 ℃であった。日中6時間平均のTcは「NK388」>「NK235BR」>「NK195BR」>「NK235BR×NK195BR」>「NK235BR× NK388」>「NK195BR×NK388」となり,F1 のTc は親系統より低い値を示した。この系統間差には、VPDが大きかった時間帯に大きかったことから、群落蒸散速度が関係していると考えられた(臼井ら,2021:生物と気象)。Tcの系統間差の要因を明らかにするために、気孔コンダクタンスを測定したところ、1)気孔コンダクタンスに系統間差が生じていた、2)気孔コンダクタンスはF1で親系統より高かった、3)気孔コンダクタンスは、「NK195BR×NK388」が最も高く、「NK235BR」および「NK388」は低い傾向が見られた(臼井ら,2021:てん菜研究会報)。 10時台から12時台におけるTcから気温を引いた葉気温較差の3時間平均値と気孔コンダクタンスの相関関係を調べたところ、両者の間には負の相関関係があった。すなわち気孔コンダクタンスが高くなるにつれ,葉の蒸散速度が大きくなり、Tcは低下する。Tcの系統間差が生じる要因の一つに,各系統の気孔コンダクタンスに起因すると考えられる蒸散速度の系統間差が寄与したものと推察された(臼井ら,2021:てん菜研究会報)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られたデータを詳細に解析することにより、これまで明らかになっていなかったテンサイの群落表面温度に系統間差が生じていることを見出した。この系統間差が生じる要因の一つに気孔コンダクタンスの系統間差が関わっていることを明らかにし、これらを論文としてまとめることができた。当初の計画に沿って順調に研究成果を挙げることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度もコロナ禍という状況にはあったものの、これまでの研究期間はおおむね順調に進展し、論文(査読付き)を成果として挙げることができた。R4年度は、成果をさらに進展させる意味でも、これまで得られたデータ分析および解析を行い、学会発表や論文の公表を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)R3年度も引き続きコロナ禍という状況もあり、これまで得られたデータ解析および論文執筆を中心とした研究に従事せざるをえなかった。そのため、当初予定していた、補助員の雇用や旅費等の学会発表に関連する費用等が発生しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)おおむね順調に研究が進んでいるため、次年度は、これまで得られたデータ分析・解析を中心に進め、成果の公表を重点化するために使用を検討する。
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