2018 Fiscal Year Research-status Report
スプライシングタンパク質U2AF1によるイントロン認識機構の解明
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18K06086
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
尾林 栄治 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50321740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RNAスプライシング / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAスプライシングには厳密な正確さが要求され、その機能不全は重大な疾患を引き起こす。U2AF(U2 auxiliary factor)はスプライシングに必須のタンパク質であり、実際にU2AFにおけるアミノ酸変異が骨髄異形成症候群やがん患者に多く見られることが報告されている。U2AFはU2AF1とU2AF2の2つのサブユニットからなる複合体である。私たちは近年、U2AF1がそれ自身でイントロンの3’側のエキソンとの境界(3’ss)を認識することを報告した。しかし、U2AF1がどのように3’ssのAG配列を認識するのか、その分子機構は明らかになっていない。さらに最近、がんなどの患者に多く見られる変異体、S34F/Yがスプライシングパターンを変化させること、特にAGの5’側の塩基がAの時に(AAG)、WTの時には起きないスプライシングが起こることが報告された。そこで本研究では、U2AFの3’ss認識機構および病気関連変異体による野生型とは異なる配列認識機構を、その立体構造から明らかにすることを目的とする。 これまでにU2AF1と3'ssを含むRNAとの複合体の結晶構造解析を行い、3.4オングストロームの回折像を得た。より信頼性の高い構造を得るため、高分解能解析を目指して条件検討を行い、最終的に2.9オングストロームでの立体構造解析に成功した。これによりU2AF1がどのようにUAGG配列を認識しているのか明らかになった。この結果はスプライシング においてどのように3'ssが認識されるのかその分子機構を明らかにした最初の例である。さらに、変異U2AF1による病気発症機構を解明するために、そのモノクローナル抗体の作成を試みた。現在までに野生型のU2AF1を認識する良質な抗体を得ることには成功しているが、変異体特異的な区抗体作成には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、1年目はU2AF1とRNA複合型の結晶構造解析により、その立体構造を明らかにすることができた。さらに今後は、病気関連変異体を用いた構造解析を行って行くが、変異体とRNA複合体についてもすでに結晶が得られているので、2年目に関しても順調に研究を進めていけるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
病気関連変異体がどのように通常の野生型と違うRNA認識を行うのか知るために、変異体とRNAの複合体を用いて結晶構造解析を試みる。すでにいくつかの条件で結晶が得られており、今後さらなる条件検討を行うことで、立体構造解析を進めていく。また、U2AF1とRNAの結合親和性を測定し、野生型と変異体の結果を比較することで、なぜ変異体が異常なスプライシング を引き起こすのかその要因を探る。さらに、U2AF1とU2AF2の共同的なイントロン認識機構を解明するために、U2AF1-U2AF2とイントロンRNA複合体の結晶化を試みる。 一方で、病気関連変異体特異的なモノクローナル抗体作成を試みる。これまでは変異体タンパク質を抗原としていたが、今後はペプチド抗原など、異なるアプローチを用いて進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Generation and characterization of antagonistic anti-human interleukin (IL)-18 monoclonal antibodies with high affinity: Two types of monoclonal antibodies against full-length IL-18 and the neoepitope of inflammatory caspase-cleaved active IL-18.2019
Author(s)
Nariai Y, Kamino H, Obayashi E, Kato H, Sakashita G, Sugiura T, Migita K, Koga T, Kawakami A, Sakamoto K, Kadomatsu K, Nakakido M, Tsumoto K, Urano T
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Journal Title
Arch Biochem Biophys.
Volume: 663
Pages: 71-82
DOI
Peer Reviewed / Open Access