2019 Fiscal Year Research-status Report
スプライシングタンパク質U2AF1によるイントロン認識機構の解明
Project/Area Number |
18K06086
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
尾林 栄治 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50321740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | RNAスプライシング / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
スプライシング には厳密な正確さが要求され、その機能不全は重大な疾患を引き起こす。U2AFはスプライシング に必須なタンパク質であり、実際にU2AFにおけるアミノ酸変異が骨髄異形成症候群や癌患者に多く見られることが報告されている。私たちは近年、U2AFの一つのサブユニットであるU2AF1が、それ自身でイントロンの3´側のエキソンとの境界(3'SS)を認識することを報告した。本研究では、U2AF1がどのように3´SSを認識するのか、また癌患者などに多く見られる特異的アミノ酸変異を持つ変異体U2AF1がどのようにスプライシング 異常を引き起こすのか、その分子機構をU2AF1の立体構造から明らかにすることを目的にしている。 これまでに、U2AF1と3'SSを含むRNAとの複合体の結晶構造解析を行い、U2AF1による3'SS配列特異的な結合の分子機構を明らかにした。また、病気関連変異体U2AF1の立体構造解析にも成功し、そのRNA結合解析の結果と合わせて、変異体U2AF1による異常スプライシング 機構を明らかにした。これらの結果を、現在論文投稿中である。 さらに、変異体U2AF1による病気発症機構の解明や診断薬開発に向けて、そのモノクローナル抗体の作成を試みている。U2AF1を認識する良質な交代の作成には成功しているが、現在までに、変異体特異的なモノクローナル抗体作成には至っておらず、さらなるスクリーニングを行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、立体構造解析にも成功し、論文投稿を行っている段階である。3年目は論文発表のみならず、学会発表などを通じて成果発表を行っていく。また、これまでに病気関連変異体U2AF1に特異的なモノクローナル抗体を得ることができていないので、抗体作成に力を入れて研究を進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を報告する。現在論文投稿中であり、それを完了させると共に、今後学会などを通じて成果を報告していく。また、これまでに使用したものとは違う病気特異的なU2AF1変異体についても、構造解析を試み、その分子機構を明らかにしていく。 一方で、病気関連変異体特異的なモノクローナル抗体作成を試みる。これまでは変異体タンパク質を抗原に用いていたが、今後は変異部位を持つペプチドを用いて進めていく予定である。
|