2018 Fiscal Year Research-status Report
高尿酸血症病態における禁煙補助薬バレニクリンによる動脈硬化進展の加速・増悪機序
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18K06809
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 教授 (90341453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 允久 福岡大学, 薬学部, 助教 (60570801)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 高尿酸血症 / バレニクリン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、経口禁煙補助薬バレニクリンが動脈硬化促進作用を有し、その発現機序にマクロファージのスカベンジャー受容体LOX-1およびCD36が関与することを明らかにした。一方、高尿酸血症で動脈硬化形成が促進されるとの報告があり、バレニクリンによる動脈硬化形成促進作用が増悪することが推測される。本研究では、動脈硬化・高尿酸血症モデルマウスを用いて「高尿酸血症病態ではLOX-1およびCD36の発現量・機能の変容により、バレニクリン誘発動脈硬化症発症が増悪する」という仮説を検証し、その発症機序を明らかにすることを目的とした。 動脈硬化モデルマウスであるApoE KOマウスを用い、食餌性の高尿酸血症を誘導することでモデル動物を作製した。高尿酸食は、通常飼育食および高脂肪食に2.5%オキソン酸、1%尿酸を含有させたものを準備し、最初の1週間は通常高尿酸食で飼育し、その後、高脂肪・尿酸食負荷に切り替えた。同時にバレニクリン0.5mg/kg/日の投与を開始した。郡分けとして、対照群(高脂肪食+生理食塩液投与)、バレニクリン群(高脂肪食+バレニクリン投与)群、高尿酸バレニクリン群(高脂肪尿酸食+バレニクリン投与)の3群で、動脈硬化巣形成を評価した。全大動脈および大動脈起始部の動脈硬化巣をoil red-O染色で評価したところ、バレニクリン群の動脈硬化形成促進作用は認められたが、高尿酸バレニクリン群と差が認められなかった。同時に採取した血液中の尿酸濃度は、高尿酸バレニクリン群で上昇していたが、これまでに我々が作成した高尿酸モデルの尿酸濃度の約50%程度(約2.0mg/dL)であり、十分な血中濃度の上昇が得られていないと考えられた。現在、高尿酸食の成分含量を数種準備し、十分な尿酸濃度上昇が得られる含量を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた高脂肪尿酸食の成分含量では、これまでに我々が確立した食餌性高尿酸血症モデルの血中尿酸濃度が達成できないことが分かった。高尿酸血症がバレニクリンの動脈硬化形成促進に影響しない可能性があるが、十分な尿酸濃度の上昇が得られたモデルにおいて最終的な判断ができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪尿酸食中のオキソン酸および尿酸含有量を変えた高脂肪尿酸食を数種準備し、高尿酸状態となるか検討を行っている。食餌性の高尿酸血症モデルが作製できない場合は、尿酸のみ腹腔内投与を行うモデルを検討する。 また細胞実験では、マクロファージのLOX1およびCD36ノックダウン細胞の確立を始めており、十分なノックダウン効果が得られれば、前倒しにて実験をすすめていく。
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Causes of Carryover |
(理由)計画した食餌性高尿酸血症モデル作製が予定通りに進んでおらず、進捗が遅れたため。 (使用計画)当初予定した使用計画通りとし、次年度使用額は細胞実験の消耗品費に充てる。
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