2018 Fiscal Year Research-status Report
成体脳室下帯における未知なる成熟ニューロンの機能―ニューロン新生に注目して―
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18K06830
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森 徹自 鳥取大学, 医学部, 教授 (30285043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 誠剛 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 教授 (40334677)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 成体ニューロン新生 / 微小神経回路 / 脳室下帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、成体マウス脳の脳室下帯(SVZ: subventricular zone)に少数存在する成熟ニューロン(SVZ-N: SVZ neuron)の組織学的・形態学的な分類をおこなった。各種ニューロンマーカーを用いた分類によって、各ニューロン群の構成比については、隣接する線条体ニューロンと非常に良く似た構成であった。また、SVZ-Nの投射先についても、線条体ニューロンと共通していた。その一方で、以前から議論の対象であったSVZ内におけるコリン作動性ニューロンの有無については、我々の解析からは事実上存在しない事が判明した。また、BrdUによる細胞産生時期の解析、Lucifer Yellow注入によるSNZ-N形態の可視化などの解析により、線条体ニューロンとは明らかに異なるニューロン集団であることが分かった。更に電子顕微鏡を用いた解析から、SVZ-Nは、上衣細胞によって隔離されていることから、下位中枢神経系に見られる脳脊髄液接触ニューロンとも異なるニューロン群であることが判明した。以上の結果は国際学術雑誌に掲載された。 成体SVZ内における微小神経回路解析のためにニューロン特異的プロモーター制御下にGFPを発現するプラスミドを作成した。ニューロンの興奮性を操作するためのプラスミドは作成中である。 重積てんかんモデル動物におけるSVZ-Nの形態変化を検討を計画している。重積てんかんモデルマウスとして、Pilocarpine(ムスカリン性アセチルコリン受容体作動薬)の腹腔内投与による方法が一般的に用いられている。過去の文献を参考に、重積てんかんモデルマウス作成のための条件検討をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SVZ-Nの組織学的・形態学的分類については、予想以上に順調であった。その一方で、SVZ-Nに対する遺伝子導入のためのプラスミド構築、入出力先の同定などについては予定よりも遅れている。しかし、全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、SVZ-Nに対する遺伝子導入のためのプラスミド構築、トレーサー注入によるSVZ-Nへの入出力先の探索に力を入れてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた3本の抗体がメーカー欠品で購入できなかった。現在引き続き発注をしていて、本年度中に納品予定である。
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