2019 Fiscal Year Research-status Report
成体脳室下帯における未知なる成熟ニューロンの機能―ニューロン新生に注目して―
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18K06830
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森 徹自 鳥取大学, 医学部, 教授 (30285043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 誠剛 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 教授 (40334677)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 成体ニューロン新生 / 微小神経回路 / 脳室下帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、成体マウス脳の脳室下帯(SVZ:subventricular zone)において少数存在する成熟ニューロン(SVZ-N: SVZ neuron)の発生学的な側面に焦点を当てて解析を行った。前年度の解析結果から、SVZ-Nは胎生13~14日頃をピークに産生されることが判明したが、他の領域のニューロン同様に、発生期に産生されたSVZ-Nの一部が細胞死によって脱落した後に成熟してゆく可能性を示唆するデータを得た。 ニューロンの死を簡便・高感度に検出する染色方法として知られるFluoroJade C(FJC)染色法を用いて検索を行った。その過程で、これまで変性成熟ニューロン特異的な染色方法と捉えられていたFJC染色が、神経幹/前駆細胞の変性においても高い特異性をもって検出することができる染色方法であることを明らかにした。これまでのBrdU標識実験から、SVZ-N産生細胞数と成体期における残存SVZ-N細胞の数を比較して、およその死細細胞/産生細胞の比率を割り出すことができるが、FJC染色方法を用いるによって、どの時期にどの程度のSVZ-Nが発生学的に選択されて生き残るか、より詳細に解析を行い、現在も解析途中である。 SVZ-Nに遺伝子導入するためのプラスミドの構築を行った。これまでの解析から、SVZ-Nの産生ピークが胎生13から14日であることが判明している。よって、この時期において子宮内電気穿孔法により、まずはCAGプロモーターによりGFPを発現するプラスミドベクターを導入し、遺伝子導入効果やプロモーターの妥当性などの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SVZ-Nに対する遺伝子導入のためのプラスミド構築に時間がかかった。子宮内エレクトロポレーションでSVZ-Nへ遺伝子導入を試みていたが、導入効率が非常に低いことが分かった。胎仔ではなく成体の脳室下帯(SVZ)に対して遺伝子導入を行う方向で軌道修正の必要が生じた。成体に対するエレクトロポレーションは特殊な器具が必要であり、特注の外国製器具の見積・発注を行っているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で物流が停滞しているために遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
成体脳室下帯(SVZ)へのエレクトロポレーションによるSVZ-Nへの遺伝子の条件設定を行う。発現プラスミドのSVZ-Nへの導入により、SVZ-Nの形態観察、投射先の同定、および人為的興奮操作を行うことにより、SVZにおけるニューロン新生に対するSVZ-Nの機能解析を行ってゆく。
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Causes of Carryover |
SVZ-Nへの遺伝子導入方法として、成体脳へのエレクトロポレーション法に変更する必要が生じた。しかし、この手技を行うためには米国製の特注機器を使用する必要がある。新型コロナウイルス感染拡大に従い、特に海外からの物流に支障が生じ、見積・納入に大幅は遅延が出ている。この状況が改善される方向に向かっているため、機器が納入され次第実験を行う予定である。
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Research Products
(7 results)