2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new therapy applying vestibular stimulation to muscle atrophy, bone loss, and equilibrium dysfunction
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18K06850
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Research Institution | Tokai Gakuin University |
Principal Investigator |
森田 啓之 東海学院大学, 健康福祉学部, 教授(移行) (80145044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10585235)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前庭系 / 過重力 / 体温調節 / 筋・骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
過重力負荷誘発性低体温の発症機序:2 g負荷によりマウスの深部体温が急激に-7℃低下する。この低下は,前庭破壊マウスでは抑制(-2.5℃)される。体表温観察では,2 g負荷により褐色脂肪周囲の温度が低下し,血中アドレナリンとノルアドレナリン濃度が低下したが,これらの変化は前庭破壊あるいはβアドレナリン作動薬の前投与により抑制された。従って,前庭系を介する交感神経抑制-褐色脂肪活性低下により,低体温が引き起こされたと考えられる。中枢機序としては,前庭神経核のVGLUT2発現ニューロンの両側化学刺激により過重力負荷時と同様な体温低下がみられた。また,VGLUT2発現ニューロンを不活化すると,2 g負荷による体温低下は抑制された。以上の結果より,過重力負荷誘発性低体温は,末梢前庭器⇒前庭神経核VGLUT2ニューロン⇒交感神経抑制を介することが分かった。
過重力負荷時の筋-骨連関:過重力負荷により筋・骨量が増加し,その増加は前庭破壊により抑制される。この時,ヒラメ筋においてolfactomedin 1(OLFM1)の発現が増加した。前庭破壊マウスでは,OLFM1発現増加と血清OLFM1増加が抑制された。また,phosphatidylinositol 3-kinase阻害剤は,筋管における剪断応力誘発性OLFM1発現増加を抑制した。さらに,olfactomedin 1はマウス骨髄細胞およびpreosteoclastic RAW264.7細胞からの破骨細胞形成を阻害し,マウス骨芽細胞におけるRANKL発現とnuclear factor-κBシグナル伝達を抑制した。血清OLFM1濃度は,ヒラメ筋のOLFM1 mRNA量および骨梁ミネラル密度と正に相関した。以上の結果から,過重力負荷によりヒラメ筋での発現が増加するOLFM1は,破骨細胞形成とRANKL発現を抑制することにより,骨量増加にも貢献していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年4月1日付で岐阜大学から東海学院大学への移動に伴う研究環境構築に時間を要し,予定していた「尾懸垂に対する下肢筋量・骨量減少に対するnoisy-GVSの効果」に関する実験を実施することができなかった。 また,COVID-19パンデミックに伴い,米国Johnson Space Centerでの宇宙飛行士を被験者とした研究が延期となり,n=6を達成することができなかった(現在n=4)。 以上の理由で,期間延長を申請し,2021年3月19日に承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
尾懸垂に対する下肢筋量・骨量減少に対する前庭電気刺激の効果:マウス用埋込型刺激装置のフィージビリティおよび2週間の尾懸垂により下肢筋量・骨量が減少することは確認済みである。尾懸垂による下肢筋量・骨量減少が前庭電気刺激(noisy-GVS: noisy galvanic vestibular stimulation)により改善するかどうかを検討する。 帰還後の宇宙飛行士の平衡機能障害に対するnoisy-GVSの効果:地上に帰還後にみられる平衡機能障害が,noisy-GVSにより改善するかどうかを検討する。現在,被験者4名の実験が完了しており,2021年度中に2名追加し,最終的にn=6を目指す。 これらの研究により,筋量・骨量減少,平衡機能障害に対する前庭刺激を応用した新たな治療法noisy-GVSの可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
職場変更およびCOVID-19パンデミックにより実験計画に遅延が生じたため,期間延長を申請し,2021年3月19日に承認された。 2021年度使用額は「尾懸垂に対する下肢筋量・骨量減少に対するnoisy-GVSの効果」検証のための実験費用として使用する。
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Research Products
(5 results)