2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of D-serine dynamics for the development of new drug against neuropsychiatric disorders
Project/Area Number |
18K06888
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森 寿 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00239617)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セリンラセマーゼ / D-セリン / NMDA受容体 / セリンシャトル仮説 / 遺伝子発現制御 / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
1)セリンラセマーゼ (SRR) 遺伝子のマウス個体での発現を計測するために、バクテリア人工染色体(BAC)を用い、大腸菌内相同遺伝子組換えにより、SRRの翻訳開始部位に、レポーターとして高感度で定量性が高いホタルルシフェラーゼ (Luc)遺伝子を挿入したトランスジーン BAC-Tg-SRR-Lucを構築しC57BL/6系統のトランスジェニック (Tg) マウス系統を樹立した。このマウス系統の胎児脳由来の初代培養神経細胞を用いて、SRR遺伝子発現に影響を与える薬物等を96ウェルプレートの発光計測によりスクリーニングし、バルプロ酸による遺伝子発現上昇、MK-801とKClによる遺伝子発現低下が観察された。 2)脳内D-セリンが、アストロサイトと神経細胞間のシャトルにより制御されているとの仮説がある。この仮説を検証するために、アストロサイト特異的にD-セリンを分解する目的で、アストロサイト特異的 3PGDH 遺伝子を用いD-セリン分解酵素 (Dsd-1)を発現させるマウス系統を確立した。このマウス系統では、脳内D-セリンが有意に低下した。また、Dsd-1の発現は3PGDHと同様であったが、Dsd-1のシグナルが弱いため、Dsd-1のアミノ末端にFLAG-Tagを挿入し新たなアストロサイト特異的Dsd-1のBAC-Tgマウスを作製した。また、神経細胞特異的Dsd-1発現マウス系統を作製するため、錐体神経細胞特異的 CaMKIIa 遺伝子を用い BAC-Tg-CaMKIIa-Dsd-1トランシジーンを構築しTg マウス系統を樹立した。この系統マウスでは、興奮性錐体神経細胞でDsd-1の発現が確認でき、大脳や海馬ではD-セリン含量が野生型の10%以下であった。これらの結果は、脳内のセリンシャトル仮説を支持すると共に、脳内D-セリン濃度を平衡化する機構の存在を示唆した。
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