2019 Fiscal Year Research-status Report
消化管の脂質センサーを起点とした腸脳相関解明と作用点とした神経疾患治療への応用
Project/Area Number |
18K06899
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
吉川 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10435860)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 腸脳相関 / 神経炎症 / 脂質メディエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管など消化管に発現している食事性肥満原因遺伝子GPR120の機能不全が、肥満をはじめとした生活習慣病の発症に関与することが報告されている。申請者はGPR120KOマウスにおける神経炎症反応の亢進を明らかとしているが、しかしGPR120は、脳ではほとんど発現しておらず、腸管をはじめ消化管で発現している。近年、脳と末梢組織の相互連関が注目されている。その中でも脳と腸は、腸内細菌を含めて、脳高次機能にも関連した相関が注目されている。本研究はGPR120の腸脳相関を介した脳内脂質代謝を明らかとすることを目的とする。 昨年度はGPR120KOマウスの脳内炎症反応を解析し、海馬において特定の脂質分子の過剰産生を明らかとした。今年度はその脂質分子の産生酵素の阻害剤を用いて、GPR120KOマウスの神経炎症反応を解析した。解析の結果、阻害剤を持続的にエサに混ぜて投与したGPR120KOマウスにおいて神経炎症反応の抑制がみられた。脂質分子がGPR120KOマウスの神経炎症反応のキー分子であると示唆された。 マウスの行動試験を日精バイリス株式会社に委託し、ロータロッドによる運動能力測定を行った。GPR120KOマウスは野生型マウスに比べ運動能力の低下がみられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
阻害剤を与えたマウスの神経炎症反応の解析を順調に進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
脳内で発現が見られないGPR120の機能不全がなぜ脳内神経炎症反応を亢進するのかを明らかとするために、腸脳相関メカニズムを解析する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で学術集会がすべて中止となり、学会参加のための旅費等の支出がなかった。また、海外からの研究試薬の注文ができず、試薬購入費などの支出がなかった。
|
Research Products
(5 results)