2018 Fiscal Year Research-status Report
癌関連スフィンゴ糖脂質と膜分子間の相互作用の時空間的動態と癌性形質増強機構の解析
Project/Area Number |
18K06925
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
古川 圭子 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (50260732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / 癌関連糖鎖 / 膜分子 / エクソソーム / リーディングエッジ / タイムラプス観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では癌関連糖脂質(GD3、GD2)と、主に正常細胞に発現する糖脂質(GM3、GM2、GM1)の機能的差異を検討し、癌細胞の接着、移動、浸潤・転移及びエクソソームにおける癌関連糖鎖の役割と作用機構を解明する。 平成30年度は、酸性糖脂質のGM3のみを有するヒトメラノーマ細胞株SK-MEL-28由来N1細胞に各種の糖鎖合成酵素遺伝子を導入して作製したGD3(+)細胞、GM2(+)細胞、GM1(+)細胞、GD2(+)細胞を用い、それらのシグナル分子の活性化を比較検討した。その結果、FCS刺激によりコントロール細胞(GM3(+)細胞)と比較してGD3(+)細胞ではp130Cas及びpaxillinのリン酸化が増強した。しかし、GD2(+)細胞はp130Cas及びpaxillinのリン酸化の増強は認められなかった。これらの分子の活性化の差異が、GD3(+)細胞では浸潤性や接着性が上昇するが、GD2(+)細胞では浸潤性及び接着初期の接着性が低いことの要因と推察された。 また、蛍光ラベルGD3(ATTO594-GD3)、GM3(ATTO594-GM3)及び、GM1(ATTO594-GM1)をコントロール細胞に取り込ませ、タイムラプス観察を行なった。その結果、移動が顕著な細胞のリーディングエッジにGD3が集合し、GD3が細胞の移動方向を先導することが示唆された。GM3及びGM1では、GD3のような顕著な局在は認められなかったが、今後、再検討する。 エクソソームの解析については、GD3またはGD2が発現しているヒトメラノーマ細胞株から超遠心法によりエクソソームを調製した。エクソソームのquality はWestern blottingによりエクソソームのマーカータンパク(CD63, TSG101)を検出して検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに各種の糖鎖リモデリング細胞を用いて、その形質の差異について解析してきた。その結果、癌関連糖脂質(GD3, GD2)発現細胞では、細胞増殖と接着性が増強した。しかし、GD2発現細胞は、接着初期では接着性が低く、接着後期で顕著に上昇した。また、浸潤性については、GD3発現細胞では亢進したが、GD2発現細胞は亢進が認められなかった。GD3発現細胞とGD2発現細胞におけるこのような差異は、p130Cas及びpaxillinのリン酸化の差異が要因となることが示唆され、これらの結果を「PLoS One 13:e0206881. doi: 10.131/journal.pone.0206881. eCollection, 2018」に報告した。 タイムラプス観察による蛍光ラベル糖脂質の生細胞膜局在の解析については、GD3に加えて、GM3及びGM1についても開始した。 エクソソームの解析については、超遠心法によりヒトメラノーマのエクソソームが回収でき、エクソソームのマーカータンパク質(CD63, TSG101)が確実に検出できた。よって、本実験における超遠心法によるエクソソームの調製法が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
①SK-MEL-28 N1細胞のコントロール細胞に蛍光ラベルGD3(ATTO594-GD3)を取り込ませ、タイムラプスイメージングにより、CL-I上の細胞動態とGD3の細胞膜上の経時的局在変化を観察する。蛍光ラベルGM3及びGM1についても同様に解析し、比較検討する。また、蛍光強度の定量法を検討する。 ②細胞をCL-Iディッシュに播き、経時的に、糖脂質、インテグリン、FAK、paxillin及びF-アクチンを免疫染色後、共焦点レーザー顕微鏡による三次元イメージングを行い、糖脂質との局在を検討する。 ③各種のメラノーマ細胞株、及び糖鎖改変細胞由来のエクソソームの分泌量及びエクソソームに含まれる糖脂質についてTLC、Western blots及び質量分析等により解析し、比較検討する。また、エクソソームの調製法について、超遠心法とTim4ビーズによる調製法で比較検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)平成30年度は実験が順調に進み、消耗品の支出が予定よりも少額となった。具体的には、糖鎖リモデリング細胞における細胞形質とシグナル分子の解析が進み、論文として報告できた。また、本実験のためのエクソソームの調製法(超遠心法)も確立できた。
(使用計画)1)酸性糖脂質と細胞膜分子との相互作用を解析するために、各種の抗体を購入する。2)エクソソームを回収、調製するためにTim4ビーズを購入する。
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[Journal Article] Lactosylceramide synthase, encoded by β4-galactosylteransferase-5 and -6, is pivotal for neuronal generation and myelin formation in mice.2018
Author(s)
Yoshihara T, Satake H, Nishie T, Okino N, Hatta T, Otani H, Suzuki H, Sugihara K, Kamimura E, Tokuda N, Furukawa K, Furukawa K, Ito M, Asano M.
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Journal Title
Plos Genetics
Volume: 14
Pages: 1-24
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Genome-wide CRISPR screens for Shiga toxins and Ricin reveal Golgi proteins critical for glycosylation.2018
Author(s)
Tian S, Muneeruddin K, Choi MY, Tao L, Bhuiyan RH, Ohmi Y, Furukawa K, Furukawa K, Boland S, Shaffer SA, Adams RM, Dong M.
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Journal Title
PLoS Biol.
Volume: 16
Pages: 1-31
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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