2020 Fiscal Year Research-status Report
癌関連スフィンゴ糖脂質と膜分子間の相互作用の時空間的動態と癌性形質増強機構の解析
Project/Area Number |
18K06925
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
古川 圭子 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (50260732)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / 癌関連糖鎖 / エクソソーム / 膜分子 / タイムラプス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では癌関連糖脂質(GD3、GD2)と、主に正常細胞に発現する糖脂質(GM3、GM2、GM1)の機能的差異を検討し、癌細胞の接着、移動、浸潤・転移及びエクソソームにおける癌関連糖鎖の役割と作用機構を解明する。 これまでに、酸性糖脂質のGM3のみを有するヒトメラノーマ細胞株SK-MEL-28由来N1細胞に各種の糖鎖合成酵素遺伝子を導入して作製した糖鎖リモデリング細胞(コントロール(GM3(+))細胞、GD3(+)細胞、GM2(+)細胞、GM1(+)細胞、GD2(+)細胞)を用い、それらのシグナル分子の活性化を比較検討し、GD3(+)細胞ではAktなどのリン酸化の増強が認められることを明らかにした。 今年度は、上記の各種糖鎖リモデリング細胞株の培養上清から超遠心法によりエクソソームを単離し、解析を進めた。エクソソームのqualityは、タンパク質濃度、Western blottingによるエクソソームのマーカータンパク(CD63, TSG101)の検出、及びNano Sightによる粒子径の測定により検討した。エクソソーム表面のGD3, GD2, GM2, GM1及CD63の検出は、Tim4-beadsを用いたフローサイトメトリーにより行なった。その結果、糖鎖リモデリング細胞由来のエクソソームは、細胞に強発現している糖脂質と同じ糖脂質を多量に含有することが明らかになった。また、質量分析による脂質の解析では、細胞に比べてエクソソームは、1)糖脂質の組成比が高い、2)スフィンゴミエリンやホスファチジルセリンが多い、という結果を得た。更に、GD3含有エクソソームはコントロール細胞由来エクソソームと比較して、CD63及びTSG101を非常に多く含んでいた。エクソソームの生物活性については、各種のエクソソームにより細胞を刺激した場合のシグナル分子の活性化について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソームの単離と解析については、超遠心法により各種の糖鎖リモデリング細胞株由来エクソソームが単離でき、エクソソームのマーカータンパク質(CD63, TSG101)が検出できた。Nano Sightによるこれらの粒子径は約100 - 150nmであった。また、Tim4-beadsを用いたフローサイトメトリーによりエクソソーム表面のGD3、GD2、GM2 及びGM1が検出できた。質量分析によるエクソソームの脂質組成解析では、細胞に比べてエクソソームでは糖脂質の組成比が高いことが明らかとなった。今後、各種糖脂質含有エクソソームのプロテオミクス解析、及び生物活性について検討する。一方、タイムラプス観察による蛍光ラベル糖脂質の生細胞膜局在の解析については、GD3に加えて、GM3及びGM1についても解析しているが、計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)各種の糖鎖リモデリング細胞由来のエクソソームについて、CD63、CD81、CD9等のテトラスパニン系タンパク質、及びインテグリン・ファミリー タンパク質、また、Flotillin等の脂質ラフト局在タンパク質などを比較検討する。また、現在進行中のプロテオミクス解析の結果についても検討を進める。 2)各種の糖脂質を含有するエクソソームにより細胞を刺激した場合のシグナル分子のリン酸化を検討する。また、浸潤性、増殖性、接着性などの細胞形質への影響についても検討する。 3)SK-MEL-28 N1細胞のコントロール細胞に蛍光ラベルGD3(ATTO594-GD3)を取り込ませ、タイムラプスイメージングにより、CL-I上の細胞動態とGD3の細胞膜上の経時的局在変化を観察する。蛍光ラベルGM3及びGM1についても同様に解析し、比較検討する。また、蛍光強度の定量法を検討する。 4)CL-Iディッシュに細胞をまき、GD3やGD2などの酸性糖脂質、インテグリン、FAK、paxillin及びF-アクチンを免疫染色後、共焦点レーザー顕微鏡による三次元イメージングを行い、糖脂質と各種分子の局在を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)2020年度は、新型コロナウィルスの影響で流通が遅れ、購入が困難な試薬などもあり、実験が中断したことがあった。また、大学で実験を行う際の行動制限もあり、自由に実験ができない場合もあった。 (使用計画)(1)エクソソームを解析するために、細胞培養試薬、各種抗体、生化学試薬、分子生物学試薬、Tim4ビーズ、エクソソーム分離カラムなどを購入する。(2)酸性糖脂質と細胞膜分子との相互作用を解析するために、各種の抗体を購入する。(3)実験補助のための人件費を支払う。
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[Journal Article] St8sia1-deficiency in mice alters tumor environments of gliomas, leading to reduced disease severity.2021
Author(s)
Zhang P, Ohkawa Y, Yamamoto S, Momota H, Kato A, Kaneko K, Natsume A, Farhana Y, Ohmi Y, Okajima T, Bhuiyan R.H., Wakabayashi T, Furukawa K, Furukawa K
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Journal Title
Nagoya J. Med. Sci. in press 2021
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed
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[Journal Article] Majority of alpha2,6-sialylated glycans in adult mouse brain exist in O-glycans: SALSA-MS analysis for knockout mice of alpha2,6-sialyltransferase genes2020
Author(s)
Ohmi Y, Nishikaze T, Kitaura Y, Ito T, Yamamoto S, Sugiyama F, Matsuyama M, Takahashi Y, Takeda A, Kawahara T, Okajima T, Furukawa K, Furukawa K
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Journal Title
Glycobiology
Volume: 105
Pages: 1-14
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Novel cellular immunotherapy using GD2-specific CAR gene-modified allogeneic γ/δ-T cells against solid cancers.2020
Author(s)
Hiroshi Fujiwara, Yasushi Akahori, Hiroshi Miwa, Linan Wang, Chisaki Hyuga, Yusuke Ohmi, Yoshimasa Tanaka, Keiko Furukawa, Koichi Furukawa, Yoshihiro Miyahara, Hiroshi Shiku
Organizer
第82回日本血液学会学術集会
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[Presentation] 新規GD2特異的CAR遺伝子導入アロγ/δ-T 細胞の開発2020
Author(s)
藤原 弘, 赤堀泰, 三輪啓志, 王立楠,日向千咲, 大海雄介, 宮原慶裕, 田中義正, 古川圭子, 古川鋼一, 珠玖 洋
Organizer
第24回日本癌免疫学会
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