2021 Fiscal Year Research-status Report
アポクリン癌を含むアポクリン病変診断の分子病理学的再構築
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18K06988
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小塚 祐司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50378311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 朋子 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (90362334)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳腺 / アポクリン / 筋上皮細胞 / 形質転換 / 非定型 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳腺病理診断におけるアポクリン癌は良悪性の鑑別に加え、類似の細胞形態を示すTriple Negative乳癌や扁平上皮分化を伴う化生癌との鑑別が問題となる。免疫組織化学での検討では、アポクリン病変に付随する筋上皮細胞の変化に関しては、アポクリン上皮との相互作用に加え、乳頭状構築病変、硬化性病変、拡張乳管内病変等の腫瘍周囲環境によって異なることが示唆された。p53 とKi67陽性細胞の率は、良性と悪性病変で異なる傾向の報告があるが、各々の良性・悪性領域内でもヘテロな陽性細胞の分布を示すことが明らかになった。またER、PgR、CK5/6陰性、AR陽性を基盤に、HER2陰性(Triple negative type/TN型)もしくはHER2陽性症例(HER2 type)に加え、形態上はアポクリン分化を示すが免疫染色では上記に該当しない非定型である症例が存在した。乳癌においてはサブタイプにかかわらず腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) を伴うことがあり、TTIL、PD‐L 1レベル(SP 142)と免疫サブセットの存在検討では、定型的アポクリン病変に関してはTN型、HER2(+)型であっても腫瘍免疫応答に乏しいグループに属することが示唆された。一次線毛に関しては、ほとんどの乳癌細胞では発現がみられず、発現の亢進を認めたものはCK5/6陽性のいわゆるBasal cell type乳癌で、形態上はアポクリン癌と思われる一部の症例にもびまん性の発現を認めたもののReversed Nuclear Polarityは不明瞭で、IDH2免疫染色は陰性であった。断頭分泌を伴う好酸性細胞質とReversed Nuclear Polarity を伴う、形態上はアポクリンDCISに分類可能な病変が、Luminal A型を示し、IDH2陽性となった。いずれも既報組織型には該当しない症例と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アポクリン病変は形態的な判断に基づくと良悪性部が複雑に分布し、一部には移行像も認めたため、各病変の位置関係と関連性の評価の客観性の担保が問題となった。Ki-67 indexが異なる他のTriple Negative乳癌との比較のためのTMA症例を用いた検証の課程でCK5/6陽性、一次線毛、IDH2の非定型的な発現群が見いだされたため、その検証のため本来の実験予定から外れている。
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Strategy for Future Research Activity |
CK5/6陽性、一次線毛、IDH2の非定型的な発現を伴う特殊なアポクリン類似病変の形態及び遺伝子変異との比較解析を行う。
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Causes of Carryover |
使用額の大部分を予定していたシークエンスを施行する適切な症例選択が行えていない。CK5/6陽性乳癌と非定型アポクリン癌の形態と遺伝子変異との比較解析を行う。
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