2018 Fiscal Year Research-status Report
原発巣とゼノグラフトにおけるゲノム情報比較による胃癌ドライバー変異の同定
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18K07007
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
桑田 健 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (00327321)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胃癌 / ゼノグラフト / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度(2018年度)には、ヒト胃癌より樹立されたヒト患者由来ゼノグラフト(PDX)および細胞株の両者が存在する20症例に対し、次世代シークエンサーを用いたがん遺伝子パネル検査を実施し、原発巣も含めた遺伝子変異の変化を確認した。 この結果、全体として一例あたり平均5個程度のがん関連遺伝子変異が認められた。遺伝子変異の内訳としてはがん遺伝子よりもがん抑制遺伝子が多かったが、これは対象としている遺伝子・変異部位の数による影響を受けている可能性がある。それぞれの遺伝子変異頻度はThe Cancer Genome Atlas(TCGA)プロジェクトなどで報告されているものと概ね同等であったが、一部のがん遺伝子については複数の症例において、かつTCGAよりも高い頻度で認められた。これらのがん遺伝子変異は原発巣においても認められており、PDXや細胞株作製過程で人工的に加わったものではなく、ヒト胃癌におけるドライバー遺伝子として関与している可能性が示された。また細胞秋季に関連するような一部の遺伝子変異は原発巣およびPDXでは認められず、細胞株のみで認められた。このような遺伝子については、原発巣でマイナーなフラクションとして存在下可能性は否定できないものの、細胞株樹立の過程において発生もしくは優位性を持った可能性が示唆され、ヒト胃癌の初期発生におけるドライバー遺伝子変異とは異なる可能性が考えられた。今後は薬理もしくは分子生物学的手法を用いて、これらのドライバー遺伝子候補の機能について解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDX・細胞株が樹立されたヒト胃癌20例について、原発巣・PDX・細胞株における遺伝子変異プロファイルの比較から、ドライバー変異と予想されるがん遺伝子変異を複数個抽出することができた。初年度に解析が完了しなかった症例については第2年度に引き続き解析を行い、追加のドライバー候補遺伝子変異を同定する。平行して、当初の予定通り上記遺伝子変異による影響を解除するための薬剤もしくは分子生物学的手法を用い、癌形質獲得にかかわるドライバー遺伝子であることの検証ならびにその分子機構の解明を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度(2019年度)は細胞株の樹立されていないPOXについて、原発巣との遺伝子変異プロファイルを比較する。同定される遺伝子のうち原発巣・PDXで共通して認められ、かつ複数の症例で同定される遺伝子変異を胃癌発生に関与するドライバー遺伝子とし、その分子生物学的意義について樹立された細胞株棟を用いて検証していく。
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Causes of Carryover |
初年度に研究成果報告を含めた学会参加を予定していたが、解析研究の実施が進行中であったためその結果データが揃う第2年度の発表とすることとした。これに伴い初年度学会参加のために計上していた旅費を物品購入のために使用した。第2年度に予定していた解析を一部初年度に前倒しで実施したことになり、翌年度の繰り越し分金額については、初年度の予定通り第2年度に学会発表のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)